内視鏡的に摘出しえた回腸アニサキス症の1例

「はじめに」消化管アニサキス症のうち, 胃アニサキス症はしばしばみられ, 上部消化管内視鏡検査により診断とともに内視鏡的摘出による治療が有用である. しかし, 腸アニサキス症は少なく, 内視鏡的に摘出しえた報告は稀である. 今回, 筆者らは回腸アニサキス症を内視鏡的に摘出しえた症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 「症例」患者:30歳, 女性. 主訴:下腹部痛, 下痢. 既往歴, 家族歴:特記すべきことなし. 生活歴:生ものの摂取機会が多い. 現病歴:1998年8月より下腹部痛, 微熱, 下痢を認め, 血便も伴うことがあるため当院消化器内科を受診した. 初診時身体所見:体温36....

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 58; no. 2; pp. 112 - 113
Main Authors 緒方, 晴彦, 岩男, 泰, 細田, 泰雄, 井上, 詠, 佐藤, 俊朗, 今枝, 博之, 長沼, 誠, 中澤, 敦, 日比, 紀文, 石井, 裕正, 江崎, 俊彦, 向井, 万起男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2001
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.58.2_112

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Summary:「はじめに」消化管アニサキス症のうち, 胃アニサキス症はしばしばみられ, 上部消化管内視鏡検査により診断とともに内視鏡的摘出による治療が有用である. しかし, 腸アニサキス症は少なく, 内視鏡的に摘出しえた報告は稀である. 今回, 筆者らは回腸アニサキス症を内視鏡的に摘出しえた症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 「症例」患者:30歳, 女性. 主訴:下腹部痛, 下痢. 既往歴, 家族歴:特記すべきことなし. 生活歴:生ものの摂取機会が多い. 現病歴:1998年8月より下腹部痛, 微熱, 下痢を認め, 血便も伴うことがあるため当院消化器内科を受診した. 初診時身体所見:体温36.9℃で, 左側腹部に圧痛を認めたが, 筋性防御なく, 腫瘤は触知されなかった. 初診時検査成績:白血球数:3,900/μl, 好酸球数5.2%, CRP 0.07mg/dlと正常で, 便潜血反応は陽性であった. 下部消化管内視鏡所見:終末回腸の腸間膜付着側にアフタ様びらんが散在していた(Color 1). 生検病理組織所見ではリンパ球を主体とした慢性炎症細胞浸潤を認めたが, 非乾酪性肉芽腫は認められなかった. 受診後経過:アフタ性回腸炎と診断し, メサラジンなどの投与により症状は軽快した. 1999年7月の下部消化管内視鏡所見ではびらんは軽快していた.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.58.2_112