点墨により腹腔内遊離ガス像を呈した1例
「和文要旨」症例は59歳の男性. S状結腸のSM癌に対して腹腔鏡下大腸切除術を予定し, 術前に点墨を施行した. ポジショニングが取れず数回の穿刺と局注を繰り返した. 検査後に腹満感と体動時の違和感が出現し, 著明な腹腔内遊離ガス像を認めた. 腹痛や炎症反応はみられず, 待機的根治手術を施行した. 点墨に限らず局注は標準的な手技であるが, 不用意な穿刺によって穿孔が生じることがあるため, 注意が必要であると考えられた. 「はじめに」腹腔鏡下大腸切除術の普及により, 大腸内視鏡によるマーキングを行う機会が増えている1). 今回, 術前の点墨により腹腔内遊離ガス像を呈したが, 待機的に手術を施行した...
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 74; no. 2; pp. 106 - 107 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
2009
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
Subjects | |
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ISSN | 1348-9844 2187-4999 |
DOI | 10.11641/pde.74.2_106 |
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Summary: | 「和文要旨」症例は59歳の男性. S状結腸のSM癌に対して腹腔鏡下大腸切除術を予定し, 術前に点墨を施行した. ポジショニングが取れず数回の穿刺と局注を繰り返した. 検査後に腹満感と体動時の違和感が出現し, 著明な腹腔内遊離ガス像を認めた. 腹痛や炎症反応はみられず, 待機的根治手術を施行した. 点墨に限らず局注は標準的な手技であるが, 不用意な穿刺によって穿孔が生じることがあるため, 注意が必要であると考えられた. 「はじめに」腹腔鏡下大腸切除術の普及により, 大腸内視鏡によるマーキングを行う機会が増えている1). 今回, 術前の点墨により腹腔内遊離ガス像を呈したが, 待機的に手術を施行した1例を経験したので報告する. 「症例」患者:59歳, 男性. 主訴:腹満感, 体動時の違和感. 現病歴:平成19年7月, 近医で施行した大腸内視鏡検査でS状結腸にSM浸潤癌を認め, 手術目的に当科を紹介された. 外来で大腸内視鏡による点墨を施行されたが, 検査後より腹満感と体動時の違和感を認めていた. 2日経過後も症状が軽快しないため再受診し, 腹部エックス線単純写真で著明な腹腔内遊離ガス像を認め同日緊急入院となった. 入院時現症:体温36.6℃. 血圧135/60mmHg. 脈拍65回/分. 腹部はやや膨隆がみられたが軟かく, 圧痛や反跳痛は認めなかった. |
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ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
DOI: | 10.11641/pde.74.2_106 |