硬口蓋明細胞癌の1例

今回われわれは硬口蓋部に発生した明細胞癌の1例を経験したので報告する。 患者は67歳男性で右側硬口蓋部の腫瘤を主訴に受診した。腫瘤は粘膜下にあり,大きさは20×15mm大で中央に潰瘍を認めた。生検の病理診断は明細胞癌であった。頸部リンパ節に転移は認めなかった。全身麻酔下に上顎部分切除術および頰脂肪体移植を施行した。術後に鼻口腔瘻が残存した。 上顎義歯では瘻孔を封鎖することはできず,開鼻声で飲水は困難であった。術後2年で残存した鼻口腔瘻孔に対して舌弁による閉鎖術を施行した。閉鎖後は開鼻声が改善し,飲水も問題なかった。術後60か月経過するも,再発や転移を認めず,発音・飲水に支障はない。...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 33; no. 1; pp. 11 - 17
Main Authors 秋森, 俊行, 宮脇, 昭彦, 志渡澤, 和佳, 上田, 大佑, 髙田, まゆこ, 大矢, 亮一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 2021
日本口腔腫瘍学会
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Summary:今回われわれは硬口蓋部に発生した明細胞癌の1例を経験したので報告する。 患者は67歳男性で右側硬口蓋部の腫瘤を主訴に受診した。腫瘤は粘膜下にあり,大きさは20×15mm大で中央に潰瘍を認めた。生検の病理診断は明細胞癌であった。頸部リンパ節に転移は認めなかった。全身麻酔下に上顎部分切除術および頰脂肪体移植を施行した。術後に鼻口腔瘻が残存した。 上顎義歯では瘻孔を封鎖することはできず,開鼻声で飲水は困難であった。術後2年で残存した鼻口腔瘻孔に対して舌弁による閉鎖術を施行した。閉鎖後は開鼻声が改善し,飲水も問題なかった。術後60か月経過するも,再発や転移を認めず,発音・飲水に支障はない。
ISSN:0915-5988
1884-4995
DOI:10.5843/jsot.33.11