重症急性膵炎に続発した肝膿瘍に対し経鼻胆道ドレナージが奏効した1例

「はじめに」肝膿瘍の治療は超音波ガイド下のドレナージと抗生物質の全身投与が標準的であるが, 成因, 部位, 大きさ, 数, 臨床症状の程度, 合併症の有無などにより治療困難な症例が存在する. 今回, 重症急性膵炎(SAP)に続発した多発性肝膿瘍に対し経. 鼻胆道ドレナージ(ENBD)が奏効した1例を経験したので報告する. 「症例」患者:76歳, 女性. 主訴:背部痛, 右季肋部痛. 既往歴:74歳・特発性血小板減少性紫斑病(ITP). 家族歴:特記事項なし. 飲酒歴, 喫煙歴:なし. 現病歴:平成12年3月15日, 背部痛出現. 翌16日に疼痛が増強し, 右季肋部痛も加わり近医入院. T-Bi...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 59; no. 2; pp. 126 - 127
Main Authors 今村, 綱男, 野津, 史彦, 坂本, 仁, 石川, 晶久, 片寄, 耕蔵, 小野, 仁志, 柳川, 達郎, 塙, 勝博, 三代川, 章雄, 池上, 覚俊, 吉田, 仁, 北村, 勝哉, 高橋, 章, 新川, 淳一, 田中, 滋城, 三田村, 圭二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2001
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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Summary:「はじめに」肝膿瘍の治療は超音波ガイド下のドレナージと抗生物質の全身投与が標準的であるが, 成因, 部位, 大きさ, 数, 臨床症状の程度, 合併症の有無などにより治療困難な症例が存在する. 今回, 重症急性膵炎(SAP)に続発した多発性肝膿瘍に対し経. 鼻胆道ドレナージ(ENBD)が奏効した1例を経験したので報告する. 「症例」患者:76歳, 女性. 主訴:背部痛, 右季肋部痛. 既往歴:74歳・特発性血小板減少性紫斑病(ITP). 家族歴:特記事項なし. 飲酒歴, 喫煙歴:なし. 現病歴:平成12年3月15日, 背部痛出現. 翌16日に疼痛が増強し, 右季肋部痛も加わり近医入院. T-Bil:1.7mg/dl, GOT 403IU/l, GPT 178IU/l, 血清Amylase 820IU/l, 尿中Amylase 4034IU/lと肝障害および膵酵素の上昇, 腹部CTにて胆嚢結石と肝内胆管拡張が認められ, 胆石性膵炎の診断でERCPを施行したが結石は確認できなかった. 3月21日, 心窩部痛と炎症反応の増悪がみられ, 腹部CTで膵炎はGrade IVに悪化. 厚生省の診断基準のStage 3のSAPと診断し, 3月22日に当院転院. 入院時現症:意識清明. 血圧131/66mmHg. 脈拍68/分・整. 体温36.8℃. 眼球結膜に軽度黄疸, 心窩部に圧痛を認めた. 肝脾腫はなし. 入院時検査成績(Table 1):白血球数(WBC)増多, 血小板数減少, 低蛋白血症とγ-GTP, LDHの上昇を認めた. 入院時腹部CT(Fig.1):膵頭体部が不均一で, 左前腎傍腔まで炎症の波及を認めた(Grade IV).
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.59.2_126