驚愕プローブパラダイムによる感情研究

「1 はじめに」まばたきとは, 視覚器官である目を保護するための眼瞼(eyelid)の急速な開閉運動である. まばたきは異物の混入をその運動によって未然に防ぐ. これは角膜への接触や, 空気の吹き付けに対する角膜反射であり, 意識水準が低下して脳死に至るまで確認できる(田多・山田・福田, 1993 ; 坂田・山田2017). 驚愕性瞬目反射(startle eyeblink reflex)は, 急峻で大音量の聴覚刺激によって誘発される. 驚愕反射が, 不快感情・気分によって促進し, 快感情によって抑制されることから, ヒトの感情状態を多角的に評価する手法として「驚愕プローブパラダイム(star...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 28; no. 3; pp. 45 - 56
Main Author 山田, 冨美雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 25.08.2023
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.28.3_45

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Summary:「1 はじめに」まばたきとは, 視覚器官である目を保護するための眼瞼(eyelid)の急速な開閉運動である. まばたきは異物の混入をその運動によって未然に防ぐ. これは角膜への接触や, 空気の吹き付けに対する角膜反射であり, 意識水準が低下して脳死に至るまで確認できる(田多・山田・福田, 1993 ; 坂田・山田2017). 驚愕性瞬目反射(startle eyeblink reflex)は, 急峻で大音量の聴覚刺激によって誘発される. 驚愕反射が, 不快感情・気分によって促進し, 快感情によって抑制されることから, ヒトの感情状態を多角的に評価する手法として「驚愕プローブパラダイム(startle probe paradigm)」が重用されている. 本論文では, 驚愕プローブパラダイムを用いて感情(emotion)や気分(mood)を定量的に評価するための研究史を概観し, 筆者らの嗅覚刺激を感情惹起刺激とした研究を解説する.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.28.3_45