ヒト甲状腺病変細胞の増殖細胞核抗原

当科で手術を行い切除した甲状腺組織 (ヒト正常甲状腺5例, バセドウ病4例, 腺腫様甲状腺腫4例, 濾胞腺腫3例, 乳頭癌2例, 濾胞癌4例, 未分化癌2例) を用いて, 増殖細胞核抗原 (PCNA) と上皮成長因子レセプター (EGFR) を免疫染色法にて観察し以下のことが示唆された. 被膜外浸潤, リンパ節転移および未分化癌細胞などの悪性度の高い症例あるいは良性病変で増殖傾向を示す症例においてPCNA陽性率が細胞の増殖能を規定する重要なマーカーになりうることが認められた. また, 腫瘍性病変ではPCNA細胞核陽性率の高い病変部に一致して強いEGFR染色を認めた. このことより腫瘍性病変の細...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 96; no. 4; pp. 651 - 658,735
Main Authors 戸村, 隆訓, 橋本, 重夫, 中野, 貴之, 西田, 升三, 太田, 文彦, 船阪, 有彦, 村田, 清高, 楠, 威志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.04.1993
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.96.651

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Summary:当科で手術を行い切除した甲状腺組織 (ヒト正常甲状腺5例, バセドウ病4例, 腺腫様甲状腺腫4例, 濾胞腺腫3例, 乳頭癌2例, 濾胞癌4例, 未分化癌2例) を用いて, 増殖細胞核抗原 (PCNA) と上皮成長因子レセプター (EGFR) を免疫染色法にて観察し以下のことが示唆された. 被膜外浸潤, リンパ節転移および未分化癌細胞などの悪性度の高い症例あるいは良性病変で増殖傾向を示す症例においてPCNA陽性率が細胞の増殖能を規定する重要なマーカーになりうることが認められた. また, 腫瘍性病変ではPCNA細胞核陽性率の高い病変部に一致して強いEGFR染色を認めた. このことより腫瘍性病変の細胞増殖能とEGFとは密接な関連があると考える.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.96.651