穿孔例から大腸ステントの安全な留置法や適応を探る
大腸ステントによる穿孔を減らすため,当院の経験を後方視で検討し,穿孔の危険因子と大腸ステント留置時の注意点を探った.対象は,術前の大腸ステント導入から27例とした.患者平均年齢76.7±12.0(42-98)歳.男性56%.狭窄原因は大腸癌原発巣89%(24例).ステントは,Niti-S stentないしHANAROSTENT,径22mmを用いた.ステント前後で,ColoRectal Obstruction Scoring System(CROSS)は96%(25/26例)で改善した.ステント無効例は,便が秘結していた.ステント留置後の治療は,外科切除が17例,手術化学療法が1例,緩和ケア7例...
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 93; no. 1; pp. 35 - 40 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
14.12.2018
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
Subjects | |
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ISSN | 1348-9844 2187-4999 |
DOI | 10.11641/pde.93.1_35 |
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Summary: | 大腸ステントによる穿孔を減らすため,当院の経験を後方視で検討し,穿孔の危険因子と大腸ステント留置時の注意点を探った.対象は,術前の大腸ステント導入から27例とした.患者平均年齢76.7±12.0(42-98)歳.男性56%.狭窄原因は大腸癌原発巣89%(24例).ステントは,Niti-S stentないしHANAROSTENT,径22mmを用いた.ステント前後で,ColoRectal Obstruction Scoring System(CROSS)は96%(25/26例)で改善した.ステント無効例は,便が秘結していた.ステント留置後の治療は,外科切除が17例,手術化学療法が1例,緩和ケア7例,保留2例だった.ステントの逸脱は0例.ステントの閉塞は2例で,ステント留置から85,119日目だった.穿孔は3例(11%)で,いずれも狭窄部位はS状結腸から下行結腸移行部(p=0.041)でステント留置から6日目までに判明した.S状結腸狭窄では,ステント留置時に腸管を短縮して癌のない直腸までステントを掛けると,穿孔を誘発する可能性が示唆された.腹膜播種による狭窄では,ステント挿入手技による穿孔に注意すべきである.ステントで病変部が穿孔した症例は,98歳で治療前の大腸閉塞期間が長かった. |
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ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
DOI: | 10.11641/pde.93.1_35 |