泉浴とリウマチ患者ビタミンB1代謝に関する研究
先に当温研小針1)は健康人及び家兎によりビタミンB1(以下B1と省略)代謝に及ぼす泉浴の影響について検討し, 泉浴ことに連続温泉浴クール(以下連浴クールと省略)がB1代謝に対し極めて好影響を与え, とくに附燐作用を亢進させB1利用率を高めることを報告した. 抗神経炎性ビタミンとして発見されたB1は, 1937年Lohmann, Schuster2)によってCarboxylaseの補酵素がB1のピロ燐酸エステルであり, 糖質代謝の中間産物であるピルビン酸の分解にCo-carboxylase(以下CoCと省略)として不可欠なものであることが明らかにされて以来, その酵素化学的意義に関する多くの所見...
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Published in | 日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 26; no. 3-4; pp. 149 - 170 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
1962
日本温泉気候物理医学会 |
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ISSN | 0029-0343 1884-3697 |
DOI | 10.11390/onki1962.26.149 |
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Summary: | 先に当温研小針1)は健康人及び家兎によりビタミンB1(以下B1と省略)代謝に及ぼす泉浴の影響について検討し, 泉浴ことに連続温泉浴クール(以下連浴クールと省略)がB1代謝に対し極めて好影響を与え, とくに附燐作用を亢進させB1利用率を高めることを報告した. 抗神経炎性ビタミンとして発見されたB1は, 1937年Lohmann, Schuster2)によってCarboxylaseの補酵素がB1のピロ燐酸エステルであり, 糖質代謝の中間産物であるピルビン酸の分解にCo-carboxylase(以下CoCと省略)として不可欠なものであることが明らかにされて以来, その酵素化学的意義に関する多くの所見が報告され, 臨床的に各種疾患に対する応用もまた盛んである. 一方Fletcher3), Steinberg4), Rowlands5), Schroder6)等は関節リウマチ(以下関リと省略)においてB1欠乏の存在を報告し, Nemecek7), Uexkull8)等もB複合体がリウマチ症状を好転せしめたことを報告している. 本邦においても斎藤, 中村9)等がリウマチと脚気の類似性より病因論の立場からリウマチのB1欠乏説を主張し, 矢野10)はリウマチ患者にはB1利用不全による代謝障害のあることを述べている. |
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ISSN: | 0029-0343 1884-3697 |
DOI: | 10.11390/onki1962.26.149 |