抗ドナー特異的抗体陽性臓器移植の実態とrituximabの使用に関する全国使用実態調査結果

「I. はじめに」日本では, 海外と比べて脳死 / 心停止下の臓器提供が少なく, 心臓を除く臓器移植では生体移植の実施割合が高い傾向にある. 生体移植は原則として血縁者間に限定されるため, レシピエントとドナーのヒト白血球抗原 (human leukocyte antigen ; HLA) の型が異なる場合が多く, レシピエントがドナー抗原に対する抗体 (donor specific antibody ; DSA) を有する場合は, 抗原抗体反応による拒絶反応 (抗体関連型拒絶反応) の発現リスクが高いことから, かつてはDSA陽性例に対する移植は禁忌とされてきた. しかし, 免疫抑制剤の開発...

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Published in移植 Vol. 55; no. 1; pp. 39 - 50
Main Authors 中川, 健, 赤松, 延久, 伊藤, 泰平, 上野, 豪久, 奥見, 雅由, 阪本, 靖介, 芳川, 豊史, 縄田, 寛, 福嶌, 教偉, 佐藤, 滋, 江川, 裕人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
日本移植学会
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Summary:「I. はじめに」日本では, 海外と比べて脳死 / 心停止下の臓器提供が少なく, 心臓を除く臓器移植では生体移植の実施割合が高い傾向にある. 生体移植は原則として血縁者間に限定されるため, レシピエントとドナーのヒト白血球抗原 (human leukocyte antigen ; HLA) の型が異なる場合が多く, レシピエントがドナー抗原に対する抗体 (donor specific antibody ; DSA) を有する場合は, 抗原抗体反応による拒絶反応 (抗体関連型拒絶反応) の発現リスクが高いことから, かつてはDSA陽性例に対する移植は禁忌とされてきた. しかし, 免疫抑制剤の開発が進み, 移植前に十分な脱感作療法を行うことでDSA陽性例への移植が可能となってきており, さまざまな薬剤について脱感作療法での応用が検討されている.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.1_39