Voxel–based lesion mappingを用いた中枢性脳卒中後疼痛の病態解析

「はじめに」中枢性脳卒中後疼痛(central poststroke pain; CPSP)は, 脳血管障害に伴う中枢の体性感覚神経系の病変によって生じる中枢性神経障害性疼痛であり, 特に治療が難しい代表的な難治性慢性疼痛である. 様々な体性感覚に関わる伝導路や領域の病変で生じる可能性があり, 脳卒中後患者の1~12%に生じると言われている. CPSPの機序については, 今までに, 中枢での促通系と抑制系の不均衡(central imbalance)や, ニューロン活動の過興奮, 感受性上昇をきたす中枢性感作(central sensitization), 疼痛伝導路の内側系の外側系からの脱抑...

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Published inPAIN RESEARCH Vol. 31; no. 4; pp. 228 - 237
Main Authors 後藤, 雄子, 眞野, 智生, 吉峰, 俊樹, 清水, 豪士, 押野, 悟, 齋藤, 洋一, 細見, 晃一, 角野, 喜則, 貴島, 晴彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本疼痛学会 26.12.2016
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ISSN0915-8588
2187-4697
DOI10.11154/pain.31.228

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Summary:「はじめに」中枢性脳卒中後疼痛(central poststroke pain; CPSP)は, 脳血管障害に伴う中枢の体性感覚神経系の病変によって生じる中枢性神経障害性疼痛であり, 特に治療が難しい代表的な難治性慢性疼痛である. 様々な体性感覚に関わる伝導路や領域の病変で生じる可能性があり, 脳卒中後患者の1~12%に生じると言われている. CPSPの機序については, 今までに, 中枢での促通系と抑制系の不均衡(central imbalance)や, ニューロン活動の過興奮, 感受性上昇をきたす中枢性感作(central sensitization), 疼痛伝導路の内側系の外側系からの脱抑制, 冷覚シグナルによる正常な疼痛抑制の欠如(disinhibition theory), thermal grill illusionなどで発症機序が説明されてきた. CPSPでは, 疼痛は脳卒中発症に遅れて出現してくることが多く, すぐに生じるような現象ではなく, 疼痛ネットワークの神経可塑性, 機能再構築による不適切な変化によってCPSPが生じてきていると推察される.
ISSN:0915-8588
2187-4697
DOI:10.11154/pain.31.228