植込みデバイス治療の安全性および技術向上を目指したカダバートレーニングの経験

【背景】植込みデバイス治療の安全性向上のためには,心臓解剖の習熟と手術手技の修練が不可欠である.本邦でも,手術手技習得を目的としたカダバートレーニング(死体を使った手術研修)が始まっており,今回デバイス植込み手技習得のためのカダバートレーニングを施行したため,報告する.【方法】Thiel固定液で固定された献体を対象とした.解剖室に放射線管理区域を設定し,X線透視を使用できる環境を整えた.実際のデバイス植込みと同様に鎖骨下静脈から心房•心室リードを留置し,その後解剖を行った.【結果】実臨床と同様に鎖骨下静脈からのリード留置が可能であった.しかしながら,非拍動下では心耳の同定が難しく,右心耳へのリ...

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Published in心電図 Vol. 37; no. 1; pp. 12 - 22
Main Authors 川上, 大志, 西村, 和久, 永井, 啓行, 大木元, 明義, 飯尾, 千春子, 清家, 史靖, 東, 晴彦, 河野, 珠美, 上谷, 晃由, 青野, 潤, 井上, 勝次, 鈴木, 純, 土居原, 拓也, 松田, 正司, 井川, 修, 檜垣, 實男, 池田, 俊太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2017
日本不整脈心電学会
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Summary:【背景】植込みデバイス治療の安全性向上のためには,心臓解剖の習熟と手術手技の修練が不可欠である.本邦でも,手術手技習得を目的としたカダバートレーニング(死体を使った手術研修)が始まっており,今回デバイス植込み手技習得のためのカダバートレーニングを施行したため,報告する.【方法】Thiel固定液で固定された献体を対象とした.解剖室に放射線管理区域を設定し,X線透視を使用できる環境を整えた.実際のデバイス植込みと同様に鎖骨下静脈から心房•心室リードを留置し,その後解剖を行った.【結果】実臨床と同様に鎖骨下静脈からのリード留置が可能であった.しかしながら,非拍動下では心耳の同定が難しく,右心耳へのリード留置は困難であった.リード留置後の解剖では,解剖学的に組織が薄い部位を確認することができた.また,透視では心尖部と思われたリードは実際には心尖部近傍中隔に留置されており,透視上と解剖上の留置部位が異なっていた.真の解剖学的心尖部は,透視のみでは把握困難と考えられた.【結語】カダバートレーニングは心臓の構造を理解し,手技の安全性を向上させるうえで有用であると考えられた.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.37.12