出血性胃angiectasiaに対する内視鏡的止血術の検討

1990年4月から2000年4月までに,当センターで施行された上部消化管内視鏡検査にて170例の胃angiectasiaが認められ,10例が出血性angiectasiaと診断された(5.9%)。検査時に活動性の出血が認められた4例に対し,内視鏡的止血術(クリップ2例,内視鏡的粘膜切除術(EMR)1例,ヒータープローブ1例)が施行され,全例で止血が得られた。このうち,2例で長期の経過観察が可能あった。EMR施行例では,術後7年間angiectasiaの再発を認めなかったが,クリップ施行2年後の症例では,術前と同部位にangiectasiaが存在し,血液検査上貧血を呈していた。クリップ法は,簡便性...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 62; no. 2; pp. 41 - 44
Main Authors 上平, 晶一, 吉田, 行雄, 浅野, 聡, 兵頭, 隆史, 平川, 隆一, 澤田, 幸久, 中島, 嘉之, 藤原, 俊文, 井廻, 道夫, 宮谷, 博幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2003
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.62.2_41

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Summary:1990年4月から2000年4月までに,当センターで施行された上部消化管内視鏡検査にて170例の胃angiectasiaが認められ,10例が出血性angiectasiaと診断された(5.9%)。検査時に活動性の出血が認められた4例に対し,内視鏡的止血術(クリップ2例,内視鏡的粘膜切除術(EMR)1例,ヒータープローブ1例)が施行され,全例で止血が得られた。このうち,2例で長期の経過観察が可能あった。EMR施行例では,術後7年間angiectasiaの再発を認めなかったが,クリップ施行2年後の症例では,術前と同部位にangiectasiaが存在し,血液検査上貧血を呈していた。クリップ法は,簡便性と安全性の点では非常に優れているが,根治性の点ではangiectasia再発,遺残の可能性が残された。  出血性angiectasiaに対する治療法では,内視鏡的止血術が最も重要な位置を占めており,エタノール注入療法,クリップ法,内視鏡的結紮術(EVL),EMRなどの内視鏡的止血術が報告されている。数週から数カ月の短期間の経過観察で,病変の再発と判定している報告もあるが,再発の有無の判定は少なくとも1年以上の経過を追ってなされるべきであり,その後も定期的な内視鏡検査の継続が必要と考えられた。
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.62.2_41