消化管脂肪腫症に合併した転移性消化管腫瘍の1例

「はじめに」今回, 我々は消化管脂肪腫症経過観察中に, 肺癌消化管転移を合併した極めて稀な1剖検例を経験したので報告する. 「症例」患者:52歳, 男性. 主訴:特になし. 家族歴・既往歴;特記すべき事項なし. 現病歴:平成10年の胃検診で隆起性病変を指摘され, 以後経過観察を受けていたが, 平成12年の検査で隆起性病変の増大・増加を指摘され, 8月1日当科紹介となった. 消化管内視鏡・X線検査で, 胃, 小腸, 大腸に多発する粘膜下腫瘍がみられ, ボーリング生検のため平成13年1月18日に入院となった. 入院時現症:身長165.5cm, 体重71kg. 貧血・黄疸なく, 胸・腹部理学的検査で...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 60; no. 2; pp. 54 - 55
Main Authors 丸山, 俊秀, 水野, 立也, 岡田, 安郎, 越川, 均, 池田, 啓浩, 別府, 加寿子, 原田, 久, 鈴木, 聡明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2002
日本消化器内視鏡学会関東支部会
Subjects
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.60.2_54

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Summary:「はじめに」今回, 我々は消化管脂肪腫症経過観察中に, 肺癌消化管転移を合併した極めて稀な1剖検例を経験したので報告する. 「症例」患者:52歳, 男性. 主訴:特になし. 家族歴・既往歴;特記すべき事項なし. 現病歴:平成10年の胃検診で隆起性病変を指摘され, 以後経過観察を受けていたが, 平成12年の検査で隆起性病変の増大・増加を指摘され, 8月1日当科紹介となった. 消化管内視鏡・X線検査で, 胃, 小腸, 大腸に多発する粘膜下腫瘍がみられ, ボーリング生検のため平成13年1月18日に入院となった. 入院時現症:身長165.5cm, 体重71kg. 貧血・黄疸なく, 胸・腹部理学的検査で異常はみられなかった. 入院時検査成績:ALP, γGTP, CRPの軽度の上昇がみられた. 上部消化管内視鏡検査:初診時の検査では胃体下部から十二指腸下行脚にかけて, いずれも, 立ち上がりがなだらかで, 表面平滑な粘膜下腫瘍が多発し(Color 1), IDUSでは内部エコーは均一かつやや高エコーで辺縁は整であり, 脂肪腫が疑われた. しかし, 4ヵ月後の入院時の検査では, 新たに, 胃全体に散在し, 大小さまざまで, いずれも表面に強い発赤・びらんを伴う隆起性病変がみられた. 肉眼像は, 胃角後壁の, 前回見られた胃体下部後壁の粘膜下腫瘍と近接する, 無茎性なもの(Color 2)や, bridging fold, 中心陥凹を伴う粘膜下腫瘍様のものと多彩であった.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.60.2_54