急性胆囊炎に合併した胃膿瘍の1例

「はじめに」比較的稀な続発性胃膿瘍の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:59歳, 女性. 主訴:腹痛, 発熱. 既往歴:僧帽弁狭窄症, ぶどう膜炎, 白内障. 家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成9年2月初旬より主訴が出現し, 近医を受診するも改善しないため, 2月20日当院を受診した. 腹部超音波検査で胆嚢炎と腹部腫瘤を指摘され入院となった. 現症:身長148cm, 体重37.5kg. 血圧130/62mmHg, 体温37.3℃. 細部に鶏卵大の腫瘤を触知し, 圧痛を認めた. 入院時検査所見:CRP 15.3, γ-GTP 83と高値を示した(Thble 1). 腹部造影CT所...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 59; no. 2; pp. 72 - 73
Main Authors 田畑, 美帆, 古市, 好宏, 植田, 健治, 西巻, 学, 片上, 利生, 日高, 道生, 武田, 一弥, 杉木, 修治, 高瀬, 雅久, 白鳥, 泰正, 宮岡, 正明, 西里, 吉則, 森安, 文則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2001
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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Summary:「はじめに」比較的稀な続発性胃膿瘍の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:59歳, 女性. 主訴:腹痛, 発熱. 既往歴:僧帽弁狭窄症, ぶどう膜炎, 白内障. 家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成9年2月初旬より主訴が出現し, 近医を受診するも改善しないため, 2月20日当院を受診した. 腹部超音波検査で胆嚢炎と腹部腫瘤を指摘され入院となった. 現症:身長148cm, 体重37.5kg. 血圧130/62mmHg, 体温37.3℃. 細部に鶏卵大の腫瘤を触知し, 圧痛を認めた. 入院時検査所見:CRP 15.3, γ-GTP 83と高値を示した(Thble 1). 腹部造影CT所見:胆嚢壁は肥厚し, 胆嚢内にガス像がみられ気腫性胆嚢炎が疑われた(Fig.1-a). 胃前庭部に濃染する壁肥厚と, 胃前庭部背側にその周囲に炎症の波及を示す脂肪組織のCT値の上昇を伴い, 濃染する不規則な壁を有する直径40×60mmの嚢胞様病変が認められ(Fig.1-b), 膿瘍とその周囲への炎症の波及が疑われた. 上部消化管内視鏡所見:胃前庭部後壁に膿様液体流出を伴う半球状の隆起がみられた(Color 1). 膿汁の細菌培養ではグラム陽性球菌が検出された. 同部から得られた生検組織は炎症所見のみで悪性を示唆する所見はなかった. また胃体下部後壁に退色調の隆起性病変がみられ, 生検組織はgroup Mで腺腫と診断された.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.59.2_72