EUSガイド下膵仮性嚢胞ドレナージが有用であった膵癌の2例

• Published in: Progress of Digestive Endoscopy Vol. 76; no. 2; pp. 122 - 123
• Main Authors: 高山, 敬子, 田原, 純子, 小山, 祐康, 清水, 京子, 小西, 洋之, 中村, 真一, 藤田, 泉, 倉持, 英和, 白鳥, 敬子
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2010; 日本消化器内視鏡学会関東支部会
• Subjects: EUS下穿刺; 膵仮性嚢胞
• ISSN: 1348-9844; 2187-4999
• DOI: 10.11641/pde.76.2_122

症例1：69歳女性。悪心・腹痛を機にCTで膵尾部の腫瘍性病変と，それと連続し胃内へ突出する12cmの嚢胞性病変を認めた。症例2：71歳女性。胃癌術後のCA19-9上昇・CTで膵体尾部腫瘍と，それと連続し胃内へ突出する6cmの嚢胞性病変を認めた。両症例とも嚢胞増大と腹部症状が出現し，膵癌と膵仮性嚢胞または粘液性嚢胞腺癌などを考えた。画像上根治切除の適応は無かったが，嚢胞の急速な増大による腹痛・通過障害症状などから化学療法が開始できず，EUSガイド下膵仮性嚢胞ドレナージを行ったところ嚢胞は縮小し症状も改善し，ERPまたはEUS-FNAで膵癌と確定し化学療法を開始できた。EUSガイド下膵仮性嚢胞ドレナージは膵仮性嚢胞に対する治療のひとつで，膵嚢胞性腫瘍に対しては腹膜播種などの観点から本邦では否定的な意見が殆どであるが，本症例のように嚢胞が診断・治療の妨げになっている場合には有用と考えられた。