保存的治療にて軽快し,内視鏡的に経過観察し得た特発性食道破裂の1例

「はじめに」特発性食道破裂は早期に適切な処置を行わないと重篤な経過をとることが多く, 外科的治療が第一選択とされている. 今回, 保存的治療で軽快し, 内視鏡的に経過観察し得た特発性食道破裂の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:56歳, 男性. 主訴:発熱, 嚥下時の前胸部痛. 既往歴:高血圧, 腎結石. 現病歴:2001年5月6日, 飲酒後に嘔吐し, その後39℃台の発熱と嚥下時の前胸部痛が出現した. 発症から約20時間後に来院し, 精査加療目的に入院となった. 入院時現症:血圧165/98mmHg, 脈拍110/分, 体温38.6℃, 胸腹部に異常所見なし. 入院時検査所見:WBC...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 60; no. 2; pp. 40 - 41
Main Authors 増尾, 貴成, 小野里, 康博, 石原, 弘, 坂元, 一郎, 濱田, 哲也, 柳澤, 正敏, 新井, 弘隆, 阿部, 毅彦, 小川, 哲史, 棚橋, 美文, 池谷, 俊郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2002
日本消化器内視鏡学会関東支部会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「はじめに」特発性食道破裂は早期に適切な処置を行わないと重篤な経過をとることが多く, 外科的治療が第一選択とされている. 今回, 保存的治療で軽快し, 内視鏡的に経過観察し得た特発性食道破裂の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:56歳, 男性. 主訴:発熱, 嚥下時の前胸部痛. 既往歴:高血圧, 腎結石. 現病歴:2001年5月6日, 飲酒後に嘔吐し, その後39℃台の発熱と嚥下時の前胸部痛が出現した. 発症から約20時間後に来院し, 精査加療目的に入院となった. 入院時現症:血圧165/98mmHg, 脈拍110/分, 体温38.6℃, 胸腹部に異常所見なし. 入院時検査所見:WBC 15,300/μg, CRP 5.1mg/dl, その他特記すべき異常なし. 胸腹部単純X線写真, 心電図:異常所見なし. 入院後経過(Table 1):食道潰瘍, 特発性食道破裂などの可能性を考え, 入院翌日, 発症から約32時間後に上部消化管内視鏡検査を行ったところ, 下部食道後壁に縦走する裂創を認め, 潰瘍底は汚い白苔で覆われていた(Color 1). 内視鏡後の胸部CTでは, 縦隔炎, 縦隔気腫の所見はないものの, 食道壁の炎症性肥厚と少量の胸水を認めた(Fig.1-a). 典型的な現病歴, 炎症反応の亢進, 内視鏡所見, 胸水の存在などから特発性食道破裂と診断した.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.60.2_40