総論:質問内容と移植医からの要望

「はじめに」2010年の臓器移植法改正後, 日本における脳死下臓器提供数は徐々に増加し, 2019年には過去最多の97例となった. この背景には, 国民の移植医療への理解と救急現場における終末期医療の意識改革が進んだことが関わっていると思われる. 2020年初頭からのCOVID-19パンデミックの影響で, 2020年の臓器提供数は69例と前年より減少したものの2018年の66例を上回っており, パンデミック終息後には, また増加していく可能性が大きい. 臓器提供数の増加は臓器不全に苦しむ患者にとっては言うまでもなく福音である一方, 臓器提供数が増えることで移植医療に携わる医療従事者の負担が増加...

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Published in移植 Vol. 57; no. 1; pp. 51 - 65
Main Authors 日本移植学会, 働き方改革委員会, 岡田, 克典, 小野, 稔, 福本, 巧, 笠原, 群生, 石田, 英樹, 渡邉, 龍秋, 江川, 裕人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
日本移植学会
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Summary:「はじめに」2010年の臓器移植法改正後, 日本における脳死下臓器提供数は徐々に増加し, 2019年には過去最多の97例となった. この背景には, 国民の移植医療への理解と救急現場における終末期医療の意識改革が進んだことが関わっていると思われる. 2020年初頭からのCOVID-19パンデミックの影響で, 2020年の臓器提供数は69例と前年より減少したものの2018年の66例を上回っており, パンデミック終息後には, また増加していく可能性が大きい. 臓器提供数の増加は臓器不全に苦しむ患者にとっては言うまでもなく福音である一方, 臓器提供数が増えることで移植医療に携わる医療従事者の負担が増加することが懸念される. 死体移植では, 移植施設の医師達が日中・夜間あるいは平日・休日を問わず全国津々浦々の提供施設へ出張し, おもに早朝に行われる摘出手術に従事する. 臓器摘出後はすぐに移植施設へ戻りそのまま移植手術に携わることも少なくない.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.1_51