大腸憩室出血に対する留置スネアによる結紮止血法
大腸憩室出血は,最も頻度の高い下部消化管出血である。その内視鏡的止血にはクリップ法やendoscopic band ligation(EBL)法が行われている。しかし,クリップ法は再出血が多く,EBL法は再出血率が低いが出血点同定後にendoscopic variceal ligation(EVL)デバイスを装着しスコープを再挿入する必要がある上,デバイスは高価である。そこで,内視鏡の再挿入を必要とせず,低コストで施行できる新たな止血法として留置スネアによる結紮止血法(留置スネア法)を考案した。方法は,スコープに透明キャップを装着し挿入。出血点を確認後,留置スネアを透明キャップ内に展開し,憩室...
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 86; no. 1; pp. 87 - 89 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
13.06.2015
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
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Summary: | 大腸憩室出血は,最も頻度の高い下部消化管出血である。その内視鏡的止血にはクリップ法やendoscopic band ligation(EBL)法が行われている。しかし,クリップ法は再出血が多く,EBL法は再出血率が低いが出血点同定後にendoscopic variceal ligation(EVL)デバイスを装着しスコープを再挿入する必要がある上,デバイスは高価である。そこで,内視鏡の再挿入を必要とせず,低コストで施行できる新たな止血法として留置スネアによる結紮止血法(留置スネア法)を考案した。方法は,スコープに透明キャップを装着し挿入。出血点を確認後,留置スネアを透明キャップ内に展開し,憩室を吸引,内翻し憩室基部をスネアで結紮する。本手技を2013年11月〜2014年5月までに6例に施行した。5例(83.3%)で完全止血が得られた。穿孔を含め処置に伴う偶発症は認めなかった。4例は2~3カ月後に経過観察を行い憩室の瘢痕化を確認した。留置スネア法はEBL法と比べ,スコープの抜去後のデバイス装着が不要で,速やかに止血操作が可能である。価格も留置スネアはEVLデバイスの約1/6(2,400円/14,500円)であり,安価である。今回我々が考案した留置スネア法は大腸憩室出血の止血法として安全かつ有効な方法と考えられた。 |
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ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
DOI: | 10.11641/pde.86.1_87 |