アルゴンプラズマ凝固が止血に有効であった進行胃癌の2例

「はじめに」アルゴンプラズマ凝固(以下, APC)は, 高周波電流を用いた組織の熱変性を利用した治療法である. アプリケーターの開発により, 消化管出血や腫瘍の内視鏡的治療に応用され, その有用性が広く認識されつつある1). 今回われわれは進行胃癌からの出血に対し, APCが有効であった2例を経験したので報告する. 「症例」【症例1】患者:60歳の男性. 嚥下困難感を主訴に2001年11月20日当科を受診. 上部消化管内視鏡検査にて体上部より体下部小彎中心の進行胃癌(type 3)と診断された(Color 1). 11月26日, 吐下血を主訴に救急外来を受診し, 緊急内視鏡検査にて胃癌からの出...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 63; no. 2; pp. 82 - 83
Main Authors 吉川, 望海, 井廻, 道夫, 斉藤, 剛, 小澤, 達雄, 小原, 朋子, 三田村, 圭二, 栗原, 利和, 竹内, 義明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2003
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.63.2_82

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Summary:「はじめに」アルゴンプラズマ凝固(以下, APC)は, 高周波電流を用いた組織の熱変性を利用した治療法である. アプリケーターの開発により, 消化管出血や腫瘍の内視鏡的治療に応用され, その有用性が広く認識されつつある1). 今回われわれは進行胃癌からの出血に対し, APCが有効であった2例を経験したので報告する. 「症例」【症例1】患者:60歳の男性. 嚥下困難感を主訴に2001年11月20日当科を受診. 上部消化管内視鏡検査にて体上部より体下部小彎中心の進行胃癌(type 3)と診断された(Color 1). 11月26日, 吐下血を主訴に救急外来を受診し, 緊急内視鏡検査にて胃癌からの出血が認められた. 薬物療法, 輸血を行うも貧血の進行が認められたため, 11月30日, APC(出力60Wアルゴンガス流量2L/min)を施行した. その後貧血の進行は認められず(Fig. 1), 化学療法施行し現在も経過観察中である. 【症例2】患者:73歳の男性. 平成14年7月より労作時の息切れとめまいを自覚し当科受診. 上部消化管内視鏡検査にて胃体中部前壁にtype 3の, さらに前底部大彎前壁にtype 2の進行胃癌を認めた(Color 2). 両病変から出血を繰り返し, Fig. 2のごとく頻回の輸血を余儀なくされた. このためAPCを2週にわたり施行.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.63.2_82