術前より高度の貧血がみられた輸血拒否患者の緊急手術の麻酔管理

「はじめに」信仰上の理由による輸血拒否患者が大量出血により重度の貧血を呈した際, その周術期管理は時に危機的となることが想像できる. 今回, 信仰上の理由により輸血を拒否した患者が, 子宮内膜掻爬術に伴う大量出血のため, 救命目的で子宮全摘術を緊急に施行せざるを得なくなり, その麻酔管理を経験したので報告する. 「症例」患者は36歳女性. 身長158cm, 非妊時体重55.4kg. 2度の帝王切開の既往歴があった. 妊娠第6週に当院産婦人科を受診し, 稽留流産が疑われたため, 子宮内膜掻爬術が予定された. その際, 患者は信仰上の理由により輸血を拒否していたため, 当院様式による輸血拒否の免責...

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Published in循環制御 Vol. 32; no. 1; pp. 22 - 25
Main Authors 大迫, 正一, 松山, 恭悠, 林, 行雄, 真下, 節, 安江, 雄一, 田村, 岳士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 2011
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ISSN0389-1844
DOI10.11312/ccm.32.22

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Summary:「はじめに」信仰上の理由による輸血拒否患者が大量出血により重度の貧血を呈した際, その周術期管理は時に危機的となることが想像できる. 今回, 信仰上の理由により輸血を拒否した患者が, 子宮内膜掻爬術に伴う大量出血のため, 救命目的で子宮全摘術を緊急に施行せざるを得なくなり, その麻酔管理を経験したので報告する. 「症例」患者は36歳女性. 身長158cm, 非妊時体重55.4kg. 2度の帝王切開の既往歴があった. 妊娠第6週に当院産婦人科を受診し, 稽留流産が疑われたため, 子宮内膜掻爬術が予定された. その際, 患者は信仰上の理由により輸血を拒否していたため, 当院様式による輸血拒否の免責証書に対して, 患者本人および配偶者の署名を得た. ただし, アルブミン, 凝固因子製剤の投与は拒否しないことも同時に確認された. 子宮内膜掻爬術に伴う出血量が1,450mlに達し, 掻爬術終了後も出血が持続した. 出血の持続に伴い, 血圧が60/30mmHgまで低下した.
ISSN:0389-1844
DOI:10.11312/ccm.32.22