ヒト免疫不全ウイルス感染患者に認められた穿孔を伴う巨大食道潰瘍の1例
「はじめに」ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に伴った, 特発性と思われる食道潰瘍の穿孔に対して内視鏡的に観察, 治療を行い保存的治療が奏功した1例を経験したので報告する. 「症例」患者:32歳, 男性. 主訴:発熱, 胸痛. 現病歴:平成13年2月より嚥下困難出現. 平成14年1月10日41℃の発熱と右側胸部痛で近医を受診. 右側膿胸の診断で入院となった(Fig. 1, 2). 胸腔ドレナージおよび抗生剤の投与が行われたが, HIV抗体陽性を指摘され, 2月4日当院へ転院となった. リスクファクター:バイセクシャル. 入院時現症:身長167cm, 体重52kg(10kg減), 意識清明,...
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 62; no. 2; pp. 70 - 71 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
2003
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
Subjects | |
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ISSN | 1348-9844 2187-4999 |
DOI | 10.11641/pde.62.2_70 |
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Summary: | 「はじめに」ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に伴った, 特発性と思われる食道潰瘍の穿孔に対して内視鏡的に観察, 治療を行い保存的治療が奏功した1例を経験したので報告する. 「症例」患者:32歳, 男性. 主訴:発熱, 胸痛. 現病歴:平成13年2月より嚥下困難出現. 平成14年1月10日41℃の発熱と右側胸部痛で近医を受診. 右側膿胸の診断で入院となった(Fig. 1, 2). 胸腔ドレナージおよび抗生剤の投与が行われたが, HIV抗体陽性を指摘され, 2月4日当院へ転院となった. リスクファクター:バイセクシャル. 入院時現症:身長167cm, 体重52kg(10kg減), 意識清明, 体温37.1℃, 脈拍60/分整, 血圧94/44mmHg, 眼瞼結膜に貧血, 呼吸音は右側で減弱し胸腔ドレーンが留置されていた. 入院時検査所見:Hb8.4g/dlと貧血を認め, Alb2.2g/dlと低蛋白血症を認めた. CRP3.2mg/dlと炎症所見を認めたが改善傾向であった. 胸水培養ではα連鎖球菌, カンジダを認めた. HIV-1RNA定量は100,000コピー/mlでCD4数は56/μlであった(Table 1). 入院後経過:入院後, 抗生剤投与を継続し持続的に胸腔ドレナージを行っていた. 入院第9病日に, 飲んだジュースが胸腔ドレーンの廃液へ混入しているのが確認された. 絶食で中心静脈栄養管理とし, 食道造影および上部消化管内視鏡検査を施行した. |
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ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
DOI: | 10.11641/pde.62.2_70 |