術後再建腸管の総胆管結石症に対する小腸鏡下EPLBDの有効性と安全性の検討

近年,術後再建腸管に伴う総胆管結石症に対し,小腸鏡下胆管結石治療が行われるようになってきた。術後再建腸管症例では,endoscopic sphincterotomy(EST)を安全に行える処置具はなく,endoscopic papillary balloon dilation(EPBD)が行われることが多い。しかし巨大結石や積み上げ結石に対するEPBDでは,完全截石に時間を要し,複数回の処置が必要となる。そこで当院では2011年2月以降,術後再建腸管総胆管結石症に対し小腸鏡下endoscopic papillary large balloon dilation(EPLBD)を16例に施行してお...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 83; no. 1; pp. 69 - 73
Main Authors 宮澤, 志朗, 岩井, 知久, 菊地, 秀彦, 今泉, 弘, 木田, 光広, 竹澤, 三代子, 小泉, 和三郎, 山内, 浩史, 奥脇, 興介, 徳永, 周子, 渡辺, 摩也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 14.12.2013
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.83.1_69

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Summary:近年,術後再建腸管に伴う総胆管結石症に対し,小腸鏡下胆管結石治療が行われるようになってきた。術後再建腸管症例では,endoscopic sphincterotomy(EST)を安全に行える処置具はなく,endoscopic papillary balloon dilation(EPBD)が行われることが多い。しかし巨大結石や積み上げ結石に対するEPBDでは,完全截石に時間を要し,複数回の処置が必要となる。そこで当院では2011年2月以降,術後再建腸管総胆管結石症に対し小腸鏡下endoscopic papillary large balloon dilation(EPLBD)を16例に施行しており,その有効性と安全性について検討した。対象は男女比15 : 1で平均年齢は76.8歳であった。術後再建方法はB-Ⅱ再建法5例,R-Y再建法 11例であった。十二指腸乳頭部は無処置12例,EST後3例,EPBD後1例であった。結石径中央値は12.0mm,平均最大胆管径は14.8mm,結石数中央値は1個であった。乳頭処置は全例ESTを行わずに一期的にEPLBDを行った。バルーン径中央値は12.8mmで下部胆管径を超えないものとした。全例に完全截石は可能であり,13例(81%)は1回の治療で完全截石が可能であった。平均治療時間は44.2分,EPLBD後の治療時間中央値は15.0分であった。偶発症は1例(6%)で止血術を必要としない軽症出血を認めたが,急性膵炎は認めなかった。  術後再建腸管に伴う総胆管結石症に対する小腸鏡下EPLBDは,重篤な偶発症もなく有効な乳頭処置と考えられたが,出血傾向のある症例には慎重に適応を選択する必要がある。
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.83.1_69