ポリエチレングリコール服用後に嘔吐し保存的治療にて軽快し得た特発性食道破裂の1例
「はじめに」特発性食道破裂は早期診断により適切な治療を行わないと重篤な経過をたどる事が多く, 外科的治療の適応が問題となる疾患であるが, 今回我々は保存的治療にて軽快し得た特発性食道破裂の1症例を経験したので報告する. 「症例」患者:76歳, 女性. 主訴:心窩部痛, 呼吸苦. 現病歴:便潜血精査のための下部消化管内視鏡検査前処置でポリエチレングリコール(以下, PEG)2,000ml服用直後嘔吐反射出現. 3回目の嘔吐より血性吐物となり, 心窩部痛, 呼吸苦も出現したため上部消化管内視鏡と胸部CTを施行. 食道胃接合部に裂傷を(Color 1-a~b)また縦隔気腫, 両側胸水(Fig. 1-...
Saved in:
Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 62; no. 2; pp. 72 - 73 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
2003
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1348-9844 2187-4999 |
DOI | 10.11641/pde.62.2_72 |
Cover
Loading…
Summary: | 「はじめに」特発性食道破裂は早期診断により適切な治療を行わないと重篤な経過をたどる事が多く, 外科的治療の適応が問題となる疾患であるが, 今回我々は保存的治療にて軽快し得た特発性食道破裂の1症例を経験したので報告する. 「症例」患者:76歳, 女性. 主訴:心窩部痛, 呼吸苦. 現病歴:便潜血精査のための下部消化管内視鏡検査前処置でポリエチレングリコール(以下, PEG)2,000ml服用直後嘔吐反射出現. 3回目の嘔吐より血性吐物となり, 心窩部痛, 呼吸苦も出現したため上部消化管内視鏡と胸部CTを施行. 食道胃接合部に裂傷を(Color 1-a~b)また縦隔気腫, 両側胸水(Fig. 1-a)も認め特発性食道破裂と診断し入院なった. 既往歴および合併症:食道裂孔ヘルニア, 逆流性食道炎, 急速進行性糸球体腎炎にて当科通院中. 家族歴:特記すべき事項なし. 入院時現症:血圧118/68mmHg, 脈拍80回/分, 体温37.7℃, 胸部聴診で軽度湿性ラ音あり, 触診で心窩部痛認めるも筋性防御はなし. 入院時血液検査所見:WBC 21,540/μl, BUN 24.7mg/dl, Cr 1.5mg/dl, CRP 11.35mg/dlその他, 特に異常所見なし. 入院経過:入院時治療方針はPEG服用後で食物残渣を認めなかった事, また基礎疾患等を考慮し, 禁飲食, 中心静脈栄養, 抗生剤・酸素投与, 経鼻胃管挿入による減圧やドレナージなどの保存的治療を行う事とした. 入院翌日には心窩部痛, 呼吸苦症状は消失し, 第10病日には発熱, 炎症反応の改善を認めた. |
---|---|
ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
DOI: | 10.11641/pde.62.2_72 |