TRPチャネル − アノクタミン1相互作用の生理機能

「はじめに」 体外環境の変化を知覚することは生存において重要であり, 特に侵害性刺激を感じることは時として生命維持に直結する不可欠な生理機能である. 末梢の自由神経終末には化学的および物理的刺激の多くを受容する分子機構があるため, 一次感覚神経は危機的環境の回避にも重要である. 侵害性熱刺激や酸刺激はカプサイシンの受容体であるTRPV1を活性化し, 且つそれらの同時刺激はTRPV1を相乗的に賦活化する. 一方, アノクタミン1(ANO1)は2008年に同定されたカルシウム活性化型陰イオンチャネルであり, 熱感受性を持つことが報告されている. TRPV1は一次感覚神経においてANO1と共局在して...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inPAIN RESEARCH Vol. 33; no. 1; pp. 1 - 9
Main Authors 高山, 靖規, 柴崎, 貢志, 富永, 真琴, 歌, 大介, 古江, 秀昌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本疼痛学会 30.03.2018
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-8588
2187-4697
DOI10.11154/pain.33.1

Cover

More Information
Summary:「はじめに」 体外環境の変化を知覚することは生存において重要であり, 特に侵害性刺激を感じることは時として生命維持に直結する不可欠な生理機能である. 末梢の自由神経終末には化学的および物理的刺激の多くを受容する分子機構があるため, 一次感覚神経は危機的環境の回避にも重要である. 侵害性熱刺激や酸刺激はカプサイシンの受容体であるTRPV1を活性化し, 且つそれらの同時刺激はTRPV1を相乗的に賦活化する. 一方, アノクタミン1(ANO1)は2008年に同定されたカルシウム活性化型陰イオンチャネルであり, 熱感受性を持つことが報告されている. TRPV1は一次感覚神経においてANO1と共局在しており, これら二つのイオンチャネルの相互作用は神経興奮を増強する分子機構であることを筆者らは明らかにした. 本稿では, TRPV1-ANO1相互作用について, その発見に至った経緯も踏まえて論じたいと思う.
ISSN:0915-8588
2187-4697
DOI:10.11154/pain.33.1