右頚部内頚動脈狭窄症に対するCAS後に一過性低灌流を呈した1例

【目的】右頚部内頚動脈狭窄症に対して頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)を施行し,術後に右大脳半球の低灌流を来した症例を報告する.【症例】72歳男性.腎不全の精査中に発見された無症候性右頚部内頚動脈狭窄症に対して,遠位塞栓防止にフィルターワイヤーを使用し,open cell stentを留置した.治療13時間後より,左半側無視,左同名半盲,左片麻痺が出現した.脳血管撮影では右中大脳動脈末梢部を中心にびまん性脳血管攣縮を呈していた.また,CT灌流画像では右大脳半球の広範な血流低下を認めた.これらの所見は可逆的であり,患者は神経学的障害を残すことなく退院し...

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Published inJournal of Neuroendovascular Therapy Vol. 7; no. 2; pp. 119 - 126
Main Authors 新井, 政幸, 桑山, 直也, 小出, 謙一郎, 高沢, 弘樹, 原田, 淳, 高, 正圭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会 2013
日本脳神経血管内治療学会
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Summary:【目的】右頚部内頚動脈狭窄症に対して頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)を施行し,術後に右大脳半球の低灌流を来した症例を報告する.【症例】72歳男性.腎不全の精査中に発見された無症候性右頚部内頚動脈狭窄症に対して,遠位塞栓防止にフィルターワイヤーを使用し,open cell stentを留置した.治療13時間後より,左半側無視,左同名半盲,左片麻痺が出現した.脳血管撮影では右中大脳動脈末梢部を中心にびまん性脳血管攣縮を呈していた.また,CT灌流画像では右大脳半球の広範な血流低下を認めた.これらの所見は可逆的であり,患者は神経学的障害を残すことなく退院した.【結語】これらの所見より,CAS後に可逆性の脳血管攣縮が併発し,一過性の虚血性合併症を引き起こした可能性が示唆された.
ISSN:1882-4072
2186-2494
DOI:10.5797/jnet.7.119