除菌後胃癌とピロリ陽性胃癌における臨床的特徴の比較

【目的】Helicobacter pylori(HP)の持続感染による慢性胃炎が胃癌の最大のリスク要因である.2013年よりHP関連胃炎に対する除菌療法が保険収載となり,臨床の場で除菌後胃癌に遭遇する機会が増えているが,除菌後胃癌の特徴に関しては不明な点も多い.当院での除菌後胃癌の特徴につき症例検討を交えて報告する.【方法】2013年から2018年に当院で内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行した早期胃癌全症例のうち除菌後胃癌とHP陽性胃癌について比較検討した.【結果】早期胃癌1186病変のうち,除菌後胃癌は165病変(13.9%),HP陽性胃癌は243病変(20.5%)であった.名義ロジステ...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 97; no. 1; pp. 28 - 32
Main Authors 小畑, 美穂, 小池, 和彦, 坂口, 賀基, 辻, 陽介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 18.12.2020
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.97.1_28

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Summary:【目的】Helicobacter pylori(HP)の持続感染による慢性胃炎が胃癌の最大のリスク要因である.2013年よりHP関連胃炎に対する除菌療法が保険収載となり,臨床の場で除菌後胃癌に遭遇する機会が増えているが,除菌後胃癌の特徴に関しては不明な点も多い.当院での除菌後胃癌の特徴につき症例検討を交えて報告する.【方法】2013年から2018年に当院で内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行した早期胃癌全症例のうち除菌後胃癌とHP陽性胃癌について比較検討した.【結果】早期胃癌1186病変のうち,除菌後胃癌は165病変(13.9%),HP陽性胃癌は243病変(20.5%)であった.名義ロジスティック多変量解析の結果,除菌後胃癌はHP陽性胃癌に比べ陥凹型が多く(67.9 vs 49.4%,p = 0.003),腫瘍径は小さく(13.4±9.7 vs 17.1±10.4 mm,p = 0.036),術時間は長かった(115.0±69.9 vs 110.7±65.3分,p = 0.004).切除径は有意差を認めなかった(37.4±13.0 vs 40.9±12.5 mm,p = 0.551).【考察】除菌後胃癌はHP陽性胃癌と比較し,より微小な段階で発見されることが示された.一方術時間が長くなり,治療時病変範囲診断に苦慮したことが影響している可能性がある.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.97.1_28