出血性ショックをきたした感染が原因と考えられた十二指腸病変の1例

「症例」患者:35歳, 女性. 主訴:海外旅行後の発熱. 既往歴:26歳時虫垂炎手術. 家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成14年5月20日にサイパンへ旅行した. 5月23日帰国し, 5月24日より38℃台の発熱, 背部痛出現し近医で解熱剤の処方を受けた. その後も症状軽快しない為5月27日前医受診し, 発熱精査目的で即日入院となる. 入院時現症:身長154cm, 体重45kg, 体温39.2℃, 血圧134/58mmHg, 脈拍85回/分, 呼吸12回/分, 眼球結膜黄染(-), 眼瞼結膜貧血(-), 表在リンパ節触知(-), 関節痛(-), 皮疹(-), 腹部は平坦・軟, 下腹部に軽...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 62; no. 2; pp. 98 - 99
Main Authors 住吉, 賢, 小森山, 広幸, 戸部, 直孝, 濱谷, 昌弘, 金子, 英彰, 田中, 圭一, 萩原, 優, 品川, 俊人, 岩本, 正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2003
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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Summary:「症例」患者:35歳, 女性. 主訴:海外旅行後の発熱. 既往歴:26歳時虫垂炎手術. 家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成14年5月20日にサイパンへ旅行した. 5月23日帰国し, 5月24日より38℃台の発熱, 背部痛出現し近医で解熱剤の処方を受けた. その後も症状軽快しない為5月27日前医受診し, 発熱精査目的で即日入院となる. 入院時現症:身長154cm, 体重45kg, 体温39.2℃, 血圧134/58mmHg, 脈拍85回/分, 呼吸12回/分, 眼球結膜黄染(-), 眼瞼結膜貧血(-), 表在リンパ節触知(-), 関節痛(-), 皮疹(-), 腹部は平坦・軟, 下腹部に軽度の圧痛を認めた. 前医での検査所見:血液検査では軽度の肝機能障害, 補体価の軽度上昇, CRP8.3mg/dlと高値を示した. 便, 尿, 髄液, 動脈血培養では異常所見を認めなかった(Table 1). 前医での経過:当初感冒を考え抗生剤投与を行うも解熱傾向がなく38~40℃の弛張熱が続き, 高熱に対し頻回の非ステロイド抗炎症薬(ジクロフェナクナトリウム;ボルタレン(R))投与で対処していた. 熱型は収まらず抗生剤の変更を行うも弛張熱は続き, 徐々に白血球数の上昇, CRPの高値を認めた. 経過中に軟便を認めたが血便, 水様便はなく, 検査所見より膠原病, 髄膜炎, 輸入感染症は否定的であった(Fig. 1). 腹部単純X線所見:左上腹部に小腸ガスを認めた. 腹部単純CT所見:十二指腸下行脚から水平脚にかけての腸管の壁肥厚, 腸液の貯留を認めた.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.62.2_98