直腸脱に対する腹腔鏡下直腸固定術9例の経験

直腸脱は肛門疾患の中でも比較的頻度は低いが,近年の高齢化に伴い症例が増加している。経会陰式手術は低侵襲であるため,選択されることが多い術式であるが,再発率が高いことが問題となる。直腸固定術をはじめとする経腹式アプローチは再発率が低く,最近では腹腔鏡下手術の有用性も報告されている。直腸癌手術におけるtotal mesorectal excision (TME)の層で直腸を剥離した後,メッシュを仙骨前面に固定し,吊り上げた直腸に巻きつける方法であるが,一般的に経会陰式アプローチでの再発率が高率であるのに対し,本術式の再発率は低率である。本疾患の患者の多くが高齢者であるため,重篤な心肺系などの合併症...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 86; no. 1; pp. 70 - 73
Main Authors 高林, 一浩, 斉田, 芳久, 榎本, 俊行, 西牟田, 浩伸, 草地, 信也, 長尾, さやか, 渡邊, 良平, 浅井, 浩司, 長尾, 二郎, 高橋, 亜紗子, 中村, 陽一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 13.06.2015
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.86.1_70

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Summary:直腸脱は肛門疾患の中でも比較的頻度は低いが,近年の高齢化に伴い症例が増加している。経会陰式手術は低侵襲であるため,選択されることが多い術式であるが,再発率が高いことが問題となる。直腸固定術をはじめとする経腹式アプローチは再発率が低く,最近では腹腔鏡下手術の有用性も報告されている。直腸癌手術におけるtotal mesorectal excision (TME)の層で直腸を剥離した後,メッシュを仙骨前面に固定し,吊り上げた直腸に巻きつける方法であるが,一般的に経会陰式アプローチでの再発率が高率であるのに対し,本術式の再発率は低率である。本疾患の患者の多くが高齢者であるため,重篤な心肺系などの合併症がなく全身麻酔が可能であることを評価した上で適応とするが,当科においても最近では直腸脱を繰り返す患者や,初発であっても比較的若年の患者に対して腹腔鏡下直腸吊り上げ固定術(Wells法)を導入し,これまでに9例施行した。手術時間と出血量の中央値はそれぞれ186分,2mlであり,術後平均在院日数は9日であった。1例で軽度の粘膜脱を認めた以外,重篤な合併症は認めず,再発も認めていない。
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.86.1_70