異所性胃粘膜周囲に発生した頸部食道癌にESDを施行した2例の検討

「緒言」異所性胃粘膜は胎生5~6ヵ月頃, 食道の重層円柱上皮が重層扁平上皮に置換する際に取り残された島状の円柱上皮とされる. 内視鏡機器の進歩と診断能の向上により検出頻度は増加し, 近年では11~14.2%程度の患者に見られると報告されている. 多くは臨床的な意義を持たないが, 非常に稀な症例として食道腺癌を伴う. 異所性胃粘膜の多くは解剖学的に視認困難な頸部食道に存在するため, 病変の良悪性の鑑別は容易ではない. 「症例」(症例1) 60代男性. 嚥下困難を主訴に前医で行った上部消化管内視鏡検査で食道入口部に腫瘤性病変を認め, 生検で高分化型腺癌の診断となり当院を紹介受診した. 既往歴は高血...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 97; no. 1; pp. 63 - 65
Main Authors 中村, 理恵子, 磯部, 雄二郎, 和田, 則仁, 松田, 諭, 北川, 雄光, 真柳, 修平, 入野, 誠之, 福田, 和正, 川久保, 博文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 18.12.2020
日本消化器内視鏡学会関東支部会
Subjects
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.97.1_63

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Summary:「緒言」異所性胃粘膜は胎生5~6ヵ月頃, 食道の重層円柱上皮が重層扁平上皮に置換する際に取り残された島状の円柱上皮とされる. 内視鏡機器の進歩と診断能の向上により検出頻度は増加し, 近年では11~14.2%程度の患者に見られると報告されている. 多くは臨床的な意義を持たないが, 非常に稀な症例として食道腺癌を伴う. 異所性胃粘膜の多くは解剖学的に視認困難な頸部食道に存在するため, 病変の良悪性の鑑別は容易ではない. 「症例」(症例1) 60代男性. 嚥下困難を主訴に前医で行った上部消化管内視鏡検査で食道入口部に腫瘤性病変を認め, 生検で高分化型腺癌の診断となり当院を紹介受診した. 既往歴は高血圧症, 糖尿病, 痛風, 脂質異常症, 喫煙歴はBrickman Indexで880, 飲酒歴は焼酎を日本酒換算で5合/日, Flushing反応は陰性であった.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.97.1_63