消化管多発血管腫が疑われた1例

「はじめに」消化管血管腫は消化管の良性腫瘍のうち比較的稀な疾患である. 消化管多発血管腫が疑われた症例を経験したので報告する. 「症例」患者:40歳, 女性. 主訴:嗄声, 呼吸困難. 家族歴, 既往歴, 生活歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成13年7月1日腹痛, 嘔吐, 手指しびれ感があり, 当院救急外来受診. 過換気症候群と診断された. その後, 嗄声, 呼吸困難などが出現し, 7月5日当院内科受診. 胸部CTを施行し, 食道に腫瘤影が存在したため, 胃腸科にて上部消化管内視鏡検査を施行した. 身体所見:特記すべき異常所見なし. 皮膚所見にも異常はなかった. 血液検査所見では血算, 生...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 60; no. 2; pp. 50 - 51
Main Authors 佐々木, 克行, 藤木, 和彦, 鈴木, 俊雄, 渡辺, 守
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2002
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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Summary:「はじめに」消化管血管腫は消化管の良性腫瘍のうち比較的稀な疾患である. 消化管多発血管腫が疑われた症例を経験したので報告する. 「症例」患者:40歳, 女性. 主訴:嗄声, 呼吸困難. 家族歴, 既往歴, 生活歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成13年7月1日腹痛, 嘔吐, 手指しびれ感があり, 当院救急外来受診. 過換気症候群と診断された. その後, 嗄声, 呼吸困難などが出現し, 7月5日当院内科受診. 胸部CTを施行し, 食道に腫瘤影が存在したため, 胃腸科にて上部消化管内視鏡検査を施行した. 身体所見:特記すべき異常所見なし. 皮膚所見にも異常はなかった. 血液検査所見では血算, 生化学ともに正常範囲内であった. 上部消化管内視鏡所見:胸部上部食道より10cmにわたり紫~暗赤色調の比較的平坦な全周性の腫瘤が存在した. 腫瘤内には黄白色, 半球状の小結節が散在した(Color 1-a). 腫瘤は食道粘膜とは明瞭に境界され, 管腔の伸展は正常であった. 胃には, 胃体中部後壁に径10mm前後, 正色調, 粘膜下腫瘍(以下SMT)様の隆起が存在した(Color 1-b). 胃角には径8mm, 正常粘膜に覆われ, 頂部は食道病変と同様の色調を呈する半球状の隆起性病変も存在した. (Color 1-c). また, 十二指腸下行脚にも径15mmおよび8mmの胃角と同様のSMT様病変が存在した(Color 1-d).
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.60.2_50