私たちの行っている安全を考慮した下顎枝矢状分割法

「緒言」顎変形症の治療は社会的認知度の上昇とともに益々盛んになった. その治療対象も顎の変形をきたす先天異常, 顎発育異常, 顎骨病変治療後の変形など多岐にわたり, 今後さらに顎変形症治療に対する要望が増加すると考えられる. これは単に治療対象の増加だけを意味するばかりでなく, 治療法の発展に伴った顎の複雑な移動やより美的な要求が増加することをも意味している. そのため, 私たちは優れた治療成果にこだわりすぎて患者に一方的な指示を押し付けがちである. しかし, 顎変形症患者の心理を理解し, 医療上大きな問題ない要望は叶えてやれるような患者への優しい対応も時には必要と考えられる. 顎変形症治療を...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 26; no. 1; pp. 1 - 8
Main Authors 渡邊章, 成田真人, 村松恭太郎, 澁井武夫, 高野正行, 高木多加志, 大畠仁, 高野伸夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 15.04.2016
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Summary:「緒言」顎変形症の治療は社会的認知度の上昇とともに益々盛んになった. その治療対象も顎の変形をきたす先天異常, 顎発育異常, 顎骨病変治療後の変形など多岐にわたり, 今後さらに顎変形症治療に対する要望が増加すると考えられる. これは単に治療対象の増加だけを意味するばかりでなく, 治療法の発展に伴った顎の複雑な移動やより美的な要求が増加することをも意味している. そのため, 私たちは優れた治療成果にこだわりすぎて患者に一方的な指示を押し付けがちである. しかし, 顎変形症患者の心理を理解し, 医療上大きな問題ない要望は叶えてやれるような患者への優しい対応も時には必要と考えられる. 顎変形症治療を行っていくには強い信頼が受けられる, 優しく, 安全性の高い, 人間愛にあふれた医療の提供が必要となる. 勿論, 患者にとって最もストレスになる手術においては十分に安全を考慮したものでなければならない. 下顎枝矢状分割法は顎変形症手術の基本となる手術で, 安全に確実に施行するために様々な改良が加えられ現在にいたっている.
ISSN:0916-7048
DOI:10.5927/jjjd.26.1