内視鏡的総胆管結石除石後再発例の臨床的検討

総胆管結石(CBDS)に対する治療法は従来開腹術のみが唯一の治療法であったが,内視鏡的乳頭切開術(EST)の出現により大きな変貌を遂げ,さらに近年,内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)も導入され,腹腔鏡下手術とあわせて現在では多種多様になってきた。  当院では,径1cm以上のCBDSに対してはEST小切開を併用したEPBDを施行しているが,平成8年11月より12年8月までにEPBD単独44例(49%),EST小切開+EPBD併用45例(51%)の計89例が施行された。これらに対して術後再発例の検討を行った。平均観察期間は23.6カ月であった。EPBD単独例の1例,EST併用例の2例にCBDS...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 58; no. 2; pp. 44 - 48
Main Authors 松井, 芳夫, 岩崎, 靖士, 浦上, 秀次郎, 熊井, 浩一郎, 北島, 政樹, 石井, 裕正, 相浦, 浩一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2001
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.58.2_44

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Summary:総胆管結石(CBDS)に対する治療法は従来開腹術のみが唯一の治療法であったが,内視鏡的乳頭切開術(EST)の出現により大きな変貌を遂げ,さらに近年,内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)も導入され,腹腔鏡下手術とあわせて現在では多種多様になってきた。  当院では,径1cm以上のCBDSに対してはEST小切開を併用したEPBDを施行しているが,平成8年11月より12年8月までにEPBD単独44例(49%),EST小切開+EPBD併用45例(51%)の計89例が施行された。これらに対して術後再発例の検討を行った。平均観察期間は23.6カ月であった。EPBD単独例の1例,EST併用例の2例にCBDS再発を認めた。このうちEPBD単独例およびEST併用例の1例は有石胆嚢放置例であった。これらの症例では胆嚢管がやや拡張し,結石除去時に胆嚢が描出されなかった。有石胆嚢放置例では,初回検査時に胆嚢が描出されず,胆嚢管に拡張がみられた症例において,胆嚢結石の落下による再発がおこりやすいことが示唆された。残りの1例は,CBDS除石後,胆嚢結石に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術を行ったが,9カ月後CBDSの再発を認めた。本症例は慢性腎不全に対し人工透析を施行しており,透析患者の結石有病率は文献的にはcontroversialであるが,このような患者の除石後再発結石の出現には十分な注意が必要と考えられた。
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.58.2_44