緊急手術となった急性大動脈疾患の手術侵襲に対するシベレスタットナトリウムの有用性

急性大動脈疾患の手術侵襲で炎症性サイトカインの過剰産生により全身性炎症反応症候群(Systemic inflammatory response syndrome: SIRS)を誘起し,臓器障害のため,術後管理に難渋する症例を経験する.我々は急性大動脈疾患で緊急手術を行った 21 症例に対し好中球エラスターゼ阻害薬シベレスタットナトリウム(以下シベレスタット)を使用し臓器障害に対する影響を検討した.シベレスタットの術前投与は DIC の発症を軽減させ,急性期の好中球エラスターゼ活性と過凝固状態を有意に抑制した.SOFA(Sequential organ failure assessment)スコ...

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Published in循環制御 Vol. 30; no. 1; pp. 19 - 24
Main Authors 入江, 嘉仁, 大喜多, 陽平, 汐口, 壮一, 今関, 隆雄, 権, 重好, 田中, 恒有
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 2009
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ISSN0389-1844
DOI10.11312/ccm.30.19

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Summary:急性大動脈疾患の手術侵襲で炎症性サイトカインの過剰産生により全身性炎症反応症候群(Systemic inflammatory response syndrome: SIRS)を誘起し,臓器障害のため,術後管理に難渋する症例を経験する.我々は急性大動脈疾患で緊急手術を行った 21 症例に対し好中球エラスターゼ阻害薬シベレスタットナトリウム(以下シベレスタット)を使用し臓器障害に対する影響を検討した.シベレスタットの術前投与は DIC の発症を軽減させ,急性期の好中球エラスターゼ活性と過凝固状態を有意に抑制した.SOFA(Sequential organ failure assessment)スコア比較では術前投与群と術後投与群に有意な差は認められなかったが急性大動脈疾患の緊急手術症例に対する術前からのシベレスタットの投与は臓器障害を軽減する可能性が示唆された.
ISSN:0389-1844
DOI:10.11312/ccm.30.19