重力荷重と骨代謝変化

宇宙飛行やベッドレストなどによる抗重力筋活動の除去または抑制は, 速筋化を伴った抗重力筋の萎縮1,4)に加えて, 骨からのカルシウム(Ca)喪失の亢進や骨密度の低下をもたらす2,3). 無重力環境暴露のシミュレーションとして, ラットでは後肢懸垂がしばしば利用される2,4~6). 体重約115gの発育期ラットを1週間後肢懸垂した実験によると, ケージ内飼育コントロールラットに比べて, 懸垂ラットでは後肢筋重量だけでなく, 大腿骨, 脛骨及び腓骨のアルミニウム当量及び重量も有意に低値であった5). 抗重力筋活動の除去または抑制に伴う筋萎縮の進行度はある時期から抑制されるが, 骨の変化はどこまでも...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 9; pp. 591 - 592
Main Authors 大平, 充宣, 井上, 勝一郎, 野井倉, 武憲, 野村, 健, 河野, 史倫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本リハビリテーション医学会 1999
日本リハビリテーション医学会
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X
1880-778X
DOI10.2490/jjrm1963.36.591

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Summary:宇宙飛行やベッドレストなどによる抗重力筋活動の除去または抑制は, 速筋化を伴った抗重力筋の萎縮1,4)に加えて, 骨からのカルシウム(Ca)喪失の亢進や骨密度の低下をもたらす2,3). 無重力環境暴露のシミュレーションとして, ラットでは後肢懸垂がしばしば利用される2,4~6). 体重約115gの発育期ラットを1週間後肢懸垂した実験によると, ケージ内飼育コントロールラットに比べて, 懸垂ラットでは後肢筋重量だけでなく, 大腿骨, 脛骨及び腓骨のアルミニウム当量及び重量も有意に低値であった5). 抗重力筋活動の除去または抑制に伴う筋萎縮の進行度はある時期から抑制されるが, 骨の変化はどこまでも進行し, しかも回復しない可能性があると報告されており3), 憂慮される問題である. 従って, 9週間にわたる長期の後肢懸垂がラットの後肢骨にどのように影響し, 起きた変化は果たしてその後回復するのか否か追求した.
ISSN:0034-351X
1880-778X
DOI:10.2490/jjrm1963.36.591