選択的経静脈塞栓術が可能な横S状静脈洞部硬膜動静脈瘻

横・S状静脈洞部の硬膜静脈洞瘻に対する経静脈塞栓術は通常Cognard type II, type IIIの硬膜動静脈瘻でかつ罹患部の静脈洞を閉塞可能な症例に対し行われる1). しかしCognard type Iであっても, 時に短絡部が静脈洞と分離可能で静脈洞を温存して選択的に塞栓可能な症例も存在する. 「症例」患者:72歳 女性 主訴:左耳鳴 病歴:上記主訴にて近医耳鼻科を受診するも異常ないといわれ, 放置していた. 肝腫瘤の精査にて入院時に, 同症状にて頭部MRAを撮像したところ左S状静脈洞部に硬膜動静脈瘻を指摘される. 身体所見:左耳後部にBruitを聴取する. その他には異常所見なし...

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Published inJournal of Neuroendovascular Therapy Vol. 1; no. 1; pp. 36 - 39
Main Author 清末, 一路
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会 2007
日本脳神経血管内治療学会
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ISSN1882-4072
2186-2494
DOI10.5797/jnet.1.36

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Summary:横・S状静脈洞部の硬膜静脈洞瘻に対する経静脈塞栓術は通常Cognard type II, type IIIの硬膜動静脈瘻でかつ罹患部の静脈洞を閉塞可能な症例に対し行われる1). しかしCognard type Iであっても, 時に短絡部が静脈洞と分離可能で静脈洞を温存して選択的に塞栓可能な症例も存在する. 「症例」患者:72歳 女性 主訴:左耳鳴 病歴:上記主訴にて近医耳鼻科を受診するも異常ないといわれ, 放置していた. 肝腫瘤の精査にて入院時に, 同症状にて頭部MRAを撮像したところ左S状静脈洞部に硬膜動静脈瘻を指摘される. 身体所見:左耳後部にBruitを聴取する. その他には異常所見なし. 血管造影所見:左S状静脈洞部に, 左中硬膜動脈や後頭動脈より主に供血される動静脈瘻を認める(Fig.1). シャント血流の大部分は順行性に内頸静脈へと流出し, 一部下錐体静脈洞を逆流し, 海綿静脈洞や対側の下垂体静脈洞へと流出する. 注意して観察すると短絡部はS状静脈洞の上内側部のvenous pouchに集中していることがわかる.
ISSN:1882-4072
2186-2494
DOI:10.5797/jnet.1.36