外科系臨床の主張

血小板輸血はその症例数・使用量ともに近年増加が報告されており,これは外科分野においての使用に関しても同様である. 特に体外循環を用いる開心術に伴う血液凝固止血能異常は,凝固・線溶系の異常とともに血小板の質的・量的異常が原因とされ,これに対し新鮮血輸血や血小板輸血が術中・術後の出血合併症に有効であることは多くの心臓外科医の認めるところである. しかしGVHDや未知のウイルス感染といった輸血に伴う合併症のすべてが解決されていない現在,その使用に当たっては最小限にとどめることが望ましい. 今回,当院における血小板輸血の現状を調査し,心臓外科における血小板動態と血小板輸血の適応について考察を加えた....

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 1; pp. 27 - 29
Main Authors 福村, 文雄, 安井, 久喬, 富田, 幸裕, 稲葉, 頌一, 戸嶋, 良博, 富永, 隆治, 森田, 茂樹, 井本, 浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1997
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.43.27

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Summary:血小板輸血はその症例数・使用量ともに近年増加が報告されており,これは外科分野においての使用に関しても同様である. 特に体外循環を用いる開心術に伴う血液凝固止血能異常は,凝固・線溶系の異常とともに血小板の質的・量的異常が原因とされ,これに対し新鮮血輸血や血小板輸血が術中・術後の出血合併症に有効であることは多くの心臓外科医の認めるところである. しかしGVHDや未知のウイルス感染といった輸血に伴う合併症のすべてが解決されていない現在,その使用に当たっては最小限にとどめることが望ましい. 今回,当院における血小板輸血の現状を調査し,心臓外科における血小板動態と血小板輸血の適応について考察を加えた. 対象と方法 <血小板輸血の現状>1986年から1995年まで九州大学医学部付属病院での各科の血小板輸血の状況を輸血部記録をもとに調査した. 使用単位数量については1993年から1995年の3年間を調査し,また1993年1月から1996年3月までの心臓外科において体外循環を使用した開心術600症例について疾患別に血小板輸血の有無を調査した. 開心術600例の疾患内訳は,先天性心疾患176例,弁膜症236例,冠動脈疾患131例,胸部大動脈瘤51例,その他6例であった. 術後出血の危険因子として再手術,緊急手術,低体重,長時間体外循環のそれぞれの血小板輸血への影響を検討した.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.43.27