多発性単神経炎を呈し緩徐進行性の運動障害を主徴とした原発性シェーグレン症候群の1例

症例は45歳女性.38歳より右手指の伸展障害が出現,その後数年かけて左側,次いで右側の下垂足が出現した.腱反射は右上肢と両下肢で減弱し,左下肢遠位部に軽度の異常感覚を認めた.神経伝導検査は軸索障害パターン,針筋電図検査で慢性神経原性所見を認めた.血清抗SS-A抗体と唾液腺病理所見が陽性.腓腹神経生検では神経束内の有髄神経線維脱落の分布に差異があり小血管周囲に炎症細胞浸潤を認めた.シェーグレン症候群に伴う多発性単神経炎と診断,免疫療法を行い一部の筋力に改善がみられた.本例が年余に亘る緩徐進行性の運動優位多発性単神経障害を示した点は,同症候群に合併する末梢神経障害として特異である....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 55; no. 10; pp. 753 - 758
Main Authors 齋藤, 万有, 林, 信太郎, 鎌田, 崇嗣, 村井, 弘之, 尾本, 雅俊, 吉良, 潤一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2015
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は45歳女性.38歳より右手指の伸展障害が出現,その後数年かけて左側,次いで右側の下垂足が出現した.腱反射は右上肢と両下肢で減弱し,左下肢遠位部に軽度の異常感覚を認めた.神経伝導検査は軸索障害パターン,針筋電図検査で慢性神経原性所見を認めた.血清抗SS-A抗体と唾液腺病理所見が陽性.腓腹神経生検では神経束内の有髄神経線維脱落の分布に差異があり小血管周囲に炎症細胞浸潤を認めた.シェーグレン症候群に伴う多発性単神経炎と診断,免疫療法を行い一部の筋力に改善がみられた.本例が年余に亘る緩徐進行性の運動優位多発性単神経障害を示した点は,同症候群に合併する末梢神経障害として特異である.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-000748