抗PL-7抗体陽性筋炎の1例―anti-synthetase syndromeの臨床像と筋病理像の検討
症例は52歳女性.7年前に手指関節痛が出現し,当初は関節リウマチや成人発症Still病の診断でステロイド,免疫抑制剤で治療された.4年前から筋痛と軽度CK上昇を認め,3ヶ月前からさらにCK上昇し,免疫抑制剤変更も効果なかった.当科入院時,中等度の体幹四肢近位筋筋力低下,肩周囲や大腿内側の筋痛がみられた.血液検査では筋逸脱酵素と炎症反応の上昇があり,抗PL-7抗体陽性であった.筋生検では壊死再生線維を認め,壊死性ミオパチーの所見であった.ステロイドを増量しタクロリムスを充分量使用して症状は改善した.抗PL-7抗体等の抗ARS抗体測定は診断や予後予測に有用であり,今後さらに症例の蓄積が必要である....
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Published in | 臨床神経学 Vol. 55; no. 11; pp. 810 - 815 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.cn-000701 |
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Summary: | 症例は52歳女性.7年前に手指関節痛が出現し,当初は関節リウマチや成人発症Still病の診断でステロイド,免疫抑制剤で治療された.4年前から筋痛と軽度CK上昇を認め,3ヶ月前からさらにCK上昇し,免疫抑制剤変更も効果なかった.当科入院時,中等度の体幹四肢近位筋筋力低下,肩周囲や大腿内側の筋痛がみられた.血液検査では筋逸脱酵素と炎症反応の上昇があり,抗PL-7抗体陽性であった.筋生検では壊死再生線維を認め,壊死性ミオパチーの所見であった.ステロイドを増量しタクロリムスを充分量使用して症状は改善した.抗PL-7抗体等の抗ARS抗体測定は診断や予後予測に有用であり,今後さらに症例の蓄積が必要である. |
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ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-000701 |