アミノグリコシド系薬剤による難聴患者の遺伝子解析

アミノグリコシド系薬剤による難聴の家系において, ミトコンドリア遺伝子12S rRNA領域の961delTとA1555G変異が報告されている。 今回, ストレプトマイシン難聴患者に遺伝子解析を行ったところ, 対象9例中1例に961delT変異 (11%), 6例にA1555G変異 (67%) を認めた。 961delT変異例の聴力像は, 両側対称性の中等度感音性難聴で, 内耳性障害と考えられた。 A1555G変異例のうち4例は高度以上の感音性難聴で, その2例は人工内耳装用者であった。 問診に加え, これらの変異をスクリーニングすることが, アミノグリコシド系薬剤による難聴の減少に貢献する可能...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 45; no. 2; pp. 137 - 143
Main Authors 山口, 昭弘, 新谷, 朋子, 平尾, 元康, 吉田, 瑞生, 菊地, 浩吉, 氷見, 徹夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 2002
日本聴覚医学会
Subjects
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.45.137

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Summary:アミノグリコシド系薬剤による難聴の家系において, ミトコンドリア遺伝子12S rRNA領域の961delTとA1555G変異が報告されている。 今回, ストレプトマイシン難聴患者に遺伝子解析を行ったところ, 対象9例中1例に961delT変異 (11%), 6例にA1555G変異 (67%) を認めた。 961delT変異例の聴力像は, 両側対称性の中等度感音性難聴で, 内耳性障害と考えられた。 A1555G変異例のうち4例は高度以上の感音性難聴で, その2例は人工内耳装用者であった。 問診に加え, これらの変異をスクリーニングすることが, アミノグリコシド系薬剤による難聴の減少に貢献する可能性があり, 有用な検査であると考える。 また, 今回は口腔粘膜擦過細胞や尿沈査を検体として用いており, 非常に侵襲性が少なく, 小児例にも施行しやすい方法であった。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.45.137