補聴器と人工内耳装用者における語音聴取能の比較

人工内耳装用者の聴取能が, どの程度の残存聴力を有する補聴器装用者のそれに匹敵するかを両者に同一語音検査を行って比較検討した。 対象は言語習得後に高度難聴となった補聴器装用者31例と人工内耳装用者48例である。 両者にテープ収録語音による検査を施行し, 聴覚のみによる成績を比較した。 最新のSPEAK方式の音声処理コード化法による人工内耳の語音聴取能は従来のF0 F1 F2方式, MPEAK方式による成績に比べて明らかに改善しており, 聴取能の平均値が母音では80dB, 単音節では85dB, 単語では80dBの聴力レベルを有する補聴器装用者のそれに相当した。 90dB以上の両側の言語習得後の高...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 40; no. 2; pp. 114 - 119
Main Authors 熊川, 孝三, 中原, はるか, 武田, 英彦, 氏田, 直子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 1997
日本聴覚医学会
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Summary:人工内耳装用者の聴取能が, どの程度の残存聴力を有する補聴器装用者のそれに匹敵するかを両者に同一語音検査を行って比較検討した。 対象は言語習得後に高度難聴となった補聴器装用者31例と人工内耳装用者48例である。 両者にテープ収録語音による検査を施行し, 聴覚のみによる成績を比較した。 最新のSPEAK方式の音声処理コード化法による人工内耳の語音聴取能は従来のF0 F1 F2方式, MPEAK方式による成績に比べて明らかに改善しており, 聴取能の平均値が母音では80dB, 単音節では85dB, 単語では80dBの聴力レベルを有する補聴器装用者のそれに相当した。 90dB以上の両側の言語習得後の高度感音難聴者で, 徹底的な補聴器による聴能訓練を行っても語音聴取能がSPEAK方式による人工内耳の下限以下の例では, 人工内耳の適応について検討されてもよいと考える。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.40.114