FDG-PET検査陽性が発見契機となった気管限局MALTリンパ腫の1例

背景.気管・気管支に発生する悪性リンパ腫は比較的まれである.今回胸部CT異常の確認のために行った^ FDG-PET検査陽性を契機に発見された1例を経験したので報告する.症例.65歳男性.咳嗽と粘稠痰を主訴に当院を受診した.胸部X線では異常を認めなかったが,胸部CTにて気管前壁に壁肥厚を認めた.1か月後,胸部CTを再検したところ,壁肥厚が増強していたため,^ FDG-PET検査を実施し,同部位に取り込みを認めた.気管支鏡検査にて,声門下2軟骨輪より下方で気管軟骨部全面にわたって葡萄の房状の隆起性病変を認めた.生検標本では粘膜下に小型リンパ球様細胞のびまん性浸潤(lymphoepithelial...

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Published in気管支学 Vol. 29; no. 6; pp. 347 - 352
Main Authors 曽和, 晃正, 北, 英夫, 安場, 広高, 工藤, 恵, 小林, 良樹, 山田, 徹, 千葉, 渉, 人見, 滋樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2007
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Summary:背景.気管・気管支に発生する悪性リンパ腫は比較的まれである.今回胸部CT異常の確認のために行った^ FDG-PET検査陽性を契機に発見された1例を経験したので報告する.症例.65歳男性.咳嗽と粘稠痰を主訴に当院を受診した.胸部X線では異常を認めなかったが,胸部CTにて気管前壁に壁肥厚を認めた.1か月後,胸部CTを再検したところ,壁肥厚が増強していたため,^ FDG-PET検査を実施し,同部位に取り込みを認めた.気管支鏡検査にて,声門下2軟骨輪より下方で気管軟骨部全面にわたって葡萄の房状の隆起性病変を認めた.生検標本では粘膜下に小型リンパ球様細胞のびまん性浸潤(lymphoepithelial lesion)を認め,免疫染色,flowcytometryではB細胞マーカー,特にCD20が陽性を示し,B cell由来low grade lymphomaのうち,mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma (MALTリンパ腫)と診断された.リツキシマブ併用化学療法にて治療したところ肉眼的に病変は消失した.結論.本症例は胸部CTと^ FDG-PETを契機に発見された.気管限局のMALTリンパ腫についてのこれまでの報告をふまえ,文献的考察を加えた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.29.6_347