足摺宇和海国立公園周辺海域における沿岸生態系の利用・保全状況とサンゴ群集・海藻藻場の分布

足摺宇和海国立公園には高知県土佐清水市から愛媛県宇和島市にかけての沿岸部の広い範囲が指定されているが,この海域は水温と沿岸域の生態系構造の南北勾配が特徴的である。気候変動の影響による生態系や生態系サービスの変化が想定される中で,保護区内で生態系をどのように利用・保全するかが課題である。本研究では,対象域で優占する造礁サンゴと大型海藻に着目し,潜水調査により分布を把握するとともに,関係者への聞き取り調査や行政文書の解析等によりこれらの生物資源が地域でどのように利用・保全されているかを整理することを目的とした。調査の結果,実際にサンゴが分布する海域と観光利用や保全活動が実施されている地域が異なるこ...

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Published in日本サンゴ礁学会誌 Vol. 23; no. 1; pp. 1 - 19
Main Authors 北野, 裕子, 鈴木, はるか, 山野, 博哉, 熊谷, 直喜, 三ツ井, 聡美, 阿部, 博哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本サンゴ礁学会 2021
Subjects
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ISSN1345-1421
1882-5710
DOI10.3755/jcrs.23.1

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Summary:足摺宇和海国立公園には高知県土佐清水市から愛媛県宇和島市にかけての沿岸部の広い範囲が指定されているが,この海域は水温と沿岸域の生態系構造の南北勾配が特徴的である。気候変動の影響による生態系や生態系サービスの変化が想定される中で,保護区内で生態系をどのように利用・保全するかが課題である。本研究では,対象域で優占する造礁サンゴと大型海藻に着目し,潜水調査により分布を把握するとともに,関係者への聞き取り調査や行政文書の解析等によりこれらの生物資源が地域でどのように利用・保全されているかを整理することを目的とした。調査の結果,実際にサンゴが分布する海域と観光利用や保全活動が実施されている地域が異なることがあり,空間的なギャップが生じていることが示された。一方,大型海藻に関しては養殖業が盛んな地域では保全の必要性に対する認識は乏しく,保全活動の規模もサンゴと比べて限定的であることが明らかとなった。
ISSN:1345-1421
1882-5710
DOI:10.3755/jcrs.23.1