胃カルチノイドの1例

胃カルチノイド(Carcinoid)は比較的稀な疾患で, 本邦では1969年まで9例の報告例を見るに過ぎない. 最近著者らは60才の女性に術前胃癌と診断し胃切除を行ない, 組織学的検査により胃カルチノイドと判明した1例を経験したので, 文献的考察を加え報告する. 「症例」患者は60才の女性で約6ヵ月前より上腹部重圧感あり. 約2ヵ月前にコーヒー残査様物を2回嘔吐した. 便通は3日ないし6日に1回で便秘の傾向あり. 1969年3月17日当院に入院した. 入院時現症: 体格やや小, 栄養中等度. 脈拍整90/分, 血圧128/80. 表在リンパ節の腫脹なし. 眼瞼結膜やや貧血性. 胸部理学的所見は...

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Published in医療 Vol. 24; no. 10; pp. 829 - 832
Main Authors 山田, 穣, 疋田, 達雄, 内海, 邦輔, 寺崎, 平, 喜多, 島豊三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1970
医療同好会
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Summary:胃カルチノイド(Carcinoid)は比較的稀な疾患で, 本邦では1969年まで9例の報告例を見るに過ぎない. 最近著者らは60才の女性に術前胃癌と診断し胃切除を行ない, 組織学的検査により胃カルチノイドと判明した1例を経験したので, 文献的考察を加え報告する. 「症例」患者は60才の女性で約6ヵ月前より上腹部重圧感あり. 約2ヵ月前にコーヒー残査様物を2回嘔吐した. 便通は3日ないし6日に1回で便秘の傾向あり. 1969年3月17日当院に入院した. 入院時現症: 体格やや小, 栄養中等度. 脈拍整90/分, 血圧128/80. 表在リンパ節の腫脹なし. 眼瞼結膜やや貧血性. 胸部理学的所見は心音清, 呼吸音正常で副雑音を聴取しない. 腹部は右季肋部に腫瘤様の抵抗を触知するが圧痛はない. 腸雑音の亢進もない. 検査成績: 末梢血は赤血球368万, 血色素(ザーリー)44%(7.0g/dl), ヘマトクリット27%, 色素係数0.59で低色素性貧血あり.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.24.829