バルプロ酸による血中アミノ酸と有機酸代謝異常

バルプロ酸(「VPA」と略)を服用中に無症候性高アンモニア血症を呈した症例で, VPA漸減中に経時的に血漿アミノ酸, 有機酸を測定した. 症例は21才女性で, 全身性強直性間代性痙攣を伴う脳性麻痺で5年2カ月間VPAを服用していた. 定期検査で血中アンモニアが正常の3倍と高値を呈したため, VPAを漸減中止したところ血中アンモニアは正常化したが, 経過中, hyperglycinemia, hyperglutaminemiaを呈し, 更にglutamate family (glutamate, proline, hydroxyproline)とaspartate family (asparta...

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Published in医療 Vol. 39; no. 12; pp. 1077 - 1080
Main Authors 飯田, 光男, 駒田, 美弘, 吉住, 完, 永田, 憲男, 東, 英一, 川崎, 肇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1985
医療同好会
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Summary:バルプロ酸(「VPA」と略)を服用中に無症候性高アンモニア血症を呈した症例で, VPA漸減中に経時的に血漿アミノ酸, 有機酸を測定した. 症例は21才女性で, 全身性強直性間代性痙攣を伴う脳性麻痺で5年2カ月間VPAを服用していた. 定期検査で血中アンモニアが正常の3倍と高値を呈したため, VPAを漸減中止したところ血中アンモニアは正常化したが, 経過中, hyperglycinemia, hyperglutaminemiaを呈し, 更にglutamate family (glutamate, proline, hydroxyproline)とaspartate family (aspartate, lysine, homoserine, methionine, isoleucine)の低値を認めた. 乳酸は低値, ピルビン酸は高値であつた. 以上の代謝異常はVPA漸減中止後正常化した. 上記のようなアミノ酸, 有機酸の長期にわたる異常が生体に与える影響についての報告はないが, VPAの種々の副作用と関連している可能性もあり, 今後の検討が必要である.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.39.1077