グリシン受容体α1遺伝子に点変異を認め,クロナゼパムが著効したhereditary hyperekplexiaの1家系

発端者は31歳の女性である.頻回な転倒と頭部外傷を主訴に来院した.健常者では問題とならない軽度の刺激で驚愕反射が誘発され,その直後に数秒の全身の筋収縮が出現する.意識は保たれつつ防御ができないまま棒のように転倒し,上肢や頭部の打撲を繰り返した.父,二人の姉に類症を認め遺伝子検査でグリシン受容体(glycine receptor α1; GLRA1)遺伝子変異を確認しhereditary hyperekplexiaと診断した.クロナゼパム1 mgの内服で転倒頻度は著減した.本疾患の患者は頻回な転倒に強い不安を抱いて日常生活を送っており,実際重度な外傷を来すこともある.有効な治療法があり適切な診断...

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Published in臨床神経学 Vol. 58; no. 7; pp. 435 - 439
Main Authors 稲垣, 良輔, 西田, 尚樹, 畑, 由紀子, 西田, 卓, 守吉, 秀行, 鈴木, 淳一郎, 伊藤, 泰広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2018
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001129

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Summary:発端者は31歳の女性である.頻回な転倒と頭部外傷を主訴に来院した.健常者では問題とならない軽度の刺激で驚愕反射が誘発され,その直後に数秒の全身の筋収縮が出現する.意識は保たれつつ防御ができないまま棒のように転倒し,上肢や頭部の打撲を繰り返した.父,二人の姉に類症を認め遺伝子検査でグリシン受容体(glycine receptor α1; GLRA1)遺伝子変異を確認しhereditary hyperekplexiaと診断した.クロナゼパム1 mgの内服で転倒頻度は著減した.本疾患の患者は頻回な転倒に強い不安を抱いて日常生活を送っており,実際重度な外傷を来すこともある.有効な治療法があり適切な診断が重要である.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001129