大腸癌症例における過去20年間の変遷およびその将来展望

国立大阪病院外科で過去20年間に手術した783症例の大腸癌について, 昭和40年代と昭和50年代の各10年間における変遷を検討した. 両期間の間で統計学的に有意な変遷がみられた項目は次のごとくである. 手術症例が2.4倍に増加した. いわゆる早期大腸癌が多くなつた. 切除率と術後の生存率が向上した. 一方予測に反して有意の差を認めなかつた項目として, 高令者大腸癌の頻度, S状結腸癌の頻度, 進行癌の減少などがあつた. 今後手術成績をさらに向上させるためには大腸癌をいかに早く拾い上げるかが課題であり, その手段として私共は次の3点が重要と考えて施行している. 第1は潜在的有症状者に対する啓蒙で...

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Published in医療 Vol. 41; no. 12; pp. 1042 - 1047
Main Authors 吉川, 宣輝, 遠藤, 省三, 高塚, 雄一, 沼田, 憲男, 杉立, 彰夫, 木谷, 成夫, 伊野, 照子, 小早川, 清, 河原, 勉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1987
国立医療学会
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Summary:国立大阪病院外科で過去20年間に手術した783症例の大腸癌について, 昭和40年代と昭和50年代の各10年間における変遷を検討した. 両期間の間で統計学的に有意な変遷がみられた項目は次のごとくである. 手術症例が2.4倍に増加した. いわゆる早期大腸癌が多くなつた. 切除率と術後の生存率が向上した. 一方予測に反して有意の差を認めなかつた項目として, 高令者大腸癌の頻度, S状結腸癌の頻度, 進行癌の減少などがあつた. 今後手術成績をさらに向上させるためには大腸癌をいかに早く拾い上げるかが課題であり, その手段として私共は次の3点が重要と考えて施行している. 第1は潜在的有症状者に対する啓蒙であり, 第2は医療側における検診体制の充実であり, 第3の手段として無症状者に対する集団検診である.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.41.1042