抗結核化学療法中に奇異性反応として胸水貯留が出現した結核性髄膜炎が示唆された1例

症例は87歳,男性である.発熱と意識障害で急性発症した.低Na血症,および髄液の単核球増多とアデノシンデアミナーゼ(ADA)高値などから結核性髄膜炎を強く疑ってイソニアジド,リファンピシンとピラジナミドを開始し,3日後に症状は軽減した.髄液所見も改善したが,約40日後に胸水貯留が認められた.リンパ球優位の滲出性胸水で胸水ADA高値から結核性胸水と診断したが,結核菌は検出されなかった.五苓散の内服を開始した8日後の胸部CTで胸水減少がみられ,低Na血症と低蛋白血症も改善した.結核性髄膜炎に伴う奇異性反応は水頭症や結核腫の他,中枢神経系外に生じることを念頭に置く必要がある....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 59; no. 8; pp. 541 - 544
Main Authors 稲葉, 龍之介, 荒井, 元美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001309

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は87歳,男性である.発熱と意識障害で急性発症した.低Na血症,および髄液の単核球増多とアデノシンデアミナーゼ(ADA)高値などから結核性髄膜炎を強く疑ってイソニアジド,リファンピシンとピラジナミドを開始し,3日後に症状は軽減した.髄液所見も改善したが,約40日後に胸水貯留が認められた.リンパ球優位の滲出性胸水で胸水ADA高値から結核性胸水と診断したが,結核菌は検出されなかった.五苓散の内服を開始した8日後の胸部CTで胸水減少がみられ,低Na血症と低蛋白血症も改善した.結核性髄膜炎に伴う奇異性反応は水頭症や結核腫の他,中枢神経系外に生じることを念頭に置く必要がある.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001309