高安動脈炎を既往にもつ慢性型/くすぶり型成人T細胞白血病に進行性多巣性白質脳症を発症した1例

症例は65歳男性である.急速進行性の認知機能低下で発症した.頭部MRIのFLAIR/T2強調画像で大脳皮質下に広汎な高信号域を認め,髄液よりJohn Cunningham virus-DNAを検出した.最終的に脳組織所見から進行性多巣性白質脳症と確定診断した.合併症として高安動脈炎と慢性型/くすぶり型成人T細胞白血病が認められた.発症早期にメフロキンとミルタザピンによる治療を開始したが,症状・画像共に改善なく約半年後に死亡した.本例において治療効果が認められなかった理由としては,HTLV-I感染に加えて高安動脈炎によるB細胞系の異常が影響した可能性を考えた....

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Published in臨床神経学 Vol. 56; no. 2; pp. 82 - 87
Main Authors 福元, 尚子, 中道, 一生, 辻野, 彰, 西條, 政幸, 中嶋, 秀樹, 白石, 裕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2016
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-000776

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Summary:症例は65歳男性である.急速進行性の認知機能低下で発症した.頭部MRIのFLAIR/T2強調画像で大脳皮質下に広汎な高信号域を認め,髄液よりJohn Cunningham virus-DNAを検出した.最終的に脳組織所見から進行性多巣性白質脳症と確定診断した.合併症として高安動脈炎と慢性型/くすぶり型成人T細胞白血病が認められた.発症早期にメフロキンとミルタザピンによる治療を開始したが,症状・画像共に改善なく約半年後に死亡した.本例において治療効果が認められなかった理由としては,HTLV-I感染に加えて高安動脈炎によるB細胞系の異常が影響した可能性を考えた.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-000776