らい療養所における精神医学的調査

国立らい療養所邑久光明園において在園者501名(男301, 女200)に精神医学的調査を行い以下の結果を得た. 対象者の平均年令は66.4±9.3才(男66.0±9.2, 女67.0±9.5)である. 対象者の約9割にらい以外の身体合併症があり, 一般老人よりも多く, 眼疾患, 胃腸疾患, 神経痛などが主なものである. ADLは約8割が正常で, 老化性精神疾患をもつ老人に比べて良好である. 対象者のうち軽度以上の痴呆の認められる者は老人ホーム入所者に比べて少ないが, 在宅老人より高頻度である. また痴呆以外の精神症状としては心気症, 不眠, 抑うつなどが約2割の者にみられるが, この原因につい...

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Published in医療 Vol. 43; no. 10; pp. 1014 - 1018
Main Authors 秋田, 博孝, 瀧沢, 紹一, 児玉, 秀敏, 久保, 摂二, 原田, 萬雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1989
国立医療学会
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Summary:国立らい療養所邑久光明園において在園者501名(男301, 女200)に精神医学的調査を行い以下の結果を得た. 対象者の平均年令は66.4±9.3才(男66.0±9.2, 女67.0±9.5)である. 対象者の約9割にらい以外の身体合併症があり, 一般老人よりも多く, 眼疾患, 胃腸疾患, 神経痛などが主なものである. ADLは約8割が正常で, 老化性精神疾患をもつ老人に比べて良好である. 対象者のうち軽度以上の痴呆の認められる者は老人ホーム入所者に比べて少ないが, 在宅老人より高頻度である. また痴呆以外の精神症状としては心気症, 不眠, 抑うつなどが約2割の者にみられるが, この原因については今後の社会心理的調査が必要であるとおもわれる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.43.1014