橋病変が脱力発作と半側顔面けいれん発作に関与したと診断した難治てんかん発作の1例

症例は35歳女性.1歳時に橋病変に対し切除術,放射線療法を施行.23歳時に頸部,体幹の脱力発作と左顔面のけいれん発作が出現した.発作時脳波,筋電図記録では全般性鋭波に後続し,左口輪筋の収縮,頸部伸筋群の脱力を認め,中心脳から始まり大脳皮質,顔面神経核,脳幹網様体の順に発作発射が伝播したと考えた.脳波-機能的MRI同時計測での全般性鋭波に関連したblood oxygen level-dependent効果は全般発作の既報告と同様の両側前頭頭頂葉の信号低下に加え,脳幹病変近傍でも信号上昇を認め,同部位がてんかんネットワークの一部であることを示唆した.てんかん発作は稀に脳幹病変が発作起始に関与するこ...

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Published in臨床神経学 Vol. 60; no. 5; pp. 362 - 366
Main Authors 十河, 正弥, 澤本, 伸克, 髙橋, 良輔, 松本, 理器, 池田, 昭夫, 井内, 盛遠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2020
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Summary:症例は35歳女性.1歳時に橋病変に対し切除術,放射線療法を施行.23歳時に頸部,体幹の脱力発作と左顔面のけいれん発作が出現した.発作時脳波,筋電図記録では全般性鋭波に後続し,左口輪筋の収縮,頸部伸筋群の脱力を認め,中心脳から始まり大脳皮質,顔面神経核,脳幹網様体の順に発作発射が伝播したと考えた.脳波-機能的MRI同時計測での全般性鋭波に関連したblood oxygen level-dependent効果は全般発作の既報告と同様の両側前頭頭頂葉の信号低下に加え,脳幹病変近傍でも信号上昇を認め,同部位がてんかんネットワークの一部であることを示唆した.てんかん発作は稀に脳幹病変が発作起始に関与することがある.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001368